日本経済新聞『人間は料理をする』書評掲載
5月4日(日)付けの日本経済新聞に書評が掲載されました。今回ご紹介する本はこちら。
- 作者: マイケル・ポーラン,野中香方子
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2014/03/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: マイケル・ポーラン,野中香方子
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2014/03/13
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日本経済新聞のウェブサイトからも読むことができます。
人間は料理をする(上・下) マイケル・ポーラン著 世界中で修業し歴史掘り起こす :日本経済新聞
2巻の書評は予想以上にきつかったですが、内容が面白かったので有り難いお仕事でした。読ませる本じゃなかったら私には手に負えなかったですよ……というわけで、読み応えあり、満足度も高い! という保証はいたします。
著者のマイケル・ポーランは食・農などの権威のあるジャーナリスト兼大学教授。彼が身体を張って調査し、書いたルポタージュ……に止まらない。彼の冒険譚でもない。著者の「体験」と「博識」の両方でこの本の魅力が成り立っている。
私たちがバーベキューと思っているものはバーベキューでは「ない」(詳細は本書をご覧下さい)。まずはそこからの驚き。バーベキューの起源は神への捧げ物であり、生贄を焼いて「その香ばしい香り」を神々に捧げ、「残りもの」である丸焼きの肉を食べたと。著者はそこには、神への行事に繋げ、肉食への罪悪感をなくす行為だったのではないか? と推察する。
本書は、古代の「火」「水」「空気」「土」の四元素に分類されて構成されている。突拍子もないかと思われるけれども、それが理に適ったように書くんですね……妙手のポーラン氏は。それぞれ「焼く」「煮る」「パン*1」「発酵食品*2」として分けた。お見事です。
本書を通じて、料理は人を繋げる力があることがわかった。空気の項では人気パン職人のレシピ本が出版されると、それを再現しようとする人たちが集まり、インターネット上で写真や意見が投稿され、互いに成功に向け協力し合う。かつて、動物の丸焼きが宗教的儀式であり、人を結びつけた。そして、その儀式を起源とするバーベキューも、仲間と集い楽しむ行事である。
仲間を集うシンボルとしての「料理」。そう考えると、今のオプション化された家庭料理(外食産業などの発達により義務ではなくなった)を、義務と感じるか? レジャーと感じるか? その問いが生まれる。
ただ、本書でも書かれていたとおり、核家族化された状態での「ひとりで」の家庭料理に、その料理の魅力はない。料理自体に魅せられる人は別だろうが。
残念ながら、私はその「ひとりだけでの家庭料理」にさほど魅力を感じない。今回の書評の最後で書いたのはその自らへの問いでもある。……とはいえ、料理そのものは嫌いじゃないんですけどね。イヤなのは、メニューを考えること&材料調達……。そこからは楽しんでいるつもりなんだけど! 人間の生命を支える食……奥深い。