朝日新聞「論壇委員が選ぶ今月の3点」11月
朝日新聞「論壇委員が選ぶ今月の3点」10月
朝日新聞の論壇時評の欄で、「論壇委員が選ぶ今月の3点」が掲載されました。
digital.asahi.com▽滝順一「不信を呼ぶ不毛な力の誇示 学術会議の任命拒否問題」(日本経済新聞電子版、10月6日)
<評>6月にあった科学技術基本法の改定で、人文科学も含め政府がすべての学問に介入できる体制が整った。その矢先の任命拒否。異論排除が目的なら、科学技術の振興はゆがみかねないと危ぶむ。
▽宮野公樹「産学連携の形而上(けいじじょう)学」現代思想10月号
▽尾内隆之、調麻佐志「追いやられる科学とリスク評価」科学10月号
毎日新聞『今週の本棚』『ポストトゥルース』書評を寄稿
本日の毎日新聞に書評を寄稿しています。
これは米国の状況を分析した書ですが、政治によって真実が軽視される状況は今の日本も同じでしょう。必読です。
真実が政治に屈する時代に、私たちはどう立ち向かえば良いのだろう。トランプは新型コロナについても、科学的に誤った情報を広め続けている。これは対岸の火事ではない。真実から目を背けることは、自らと大事な人の身の危険に繋がるのだ。
マッキンタイアは、ポストトゥルース現象が生まれた要因として、ポストモダン思想を挙げますが、他の精緻な議論に比べると粗いような…。 このあたりは、監訳者の大橋完太郎さんが「附論」で丁寧に検討されていて、読み応えがあります。
科学は、エビデンスに応じて従前の仮説を変え続ける学問体系である。認知バイアスを持つ私たちは、信じたいものを信じているときに、懐疑的な態度をとることは難しい。しかし、その科学の持つ強さを取り戻すことが、嘘がまかり通る時代にこそ求められると信じたい。
朝日新聞「論壇委員が選ぶ今月の3点」9月
朝日新聞の論壇時評の欄で、「論壇委員が選ぶ今月の3点」が掲載されました。
<評>著者は大学生の時に潰瘍性大腸炎を発症した文学紹介者。食と排泄(はいせつ)という、生きるために必須の営みに深く影響を及ぼす病と向き合い、時にはユーモアを交えたり文学作品を引用したりしながら、闘病の様子を描いていく。
これを読むと、潰瘍性大腸炎は、患者によって症状が様々なことがわかります。と同時に、ここで論じられる「食とコミュニケーション」(共食圧力)や、引きこもりの話は普遍性をもつと思います。
また、著者の頭木さんは新型コロナで「正常と異常の逆転」が起きたと分析。著者の潔癖症(服用薬により免疫機能が低下しているため、コロナ禍前から感染症予防が欠かせない)や引きこもりは「異常」とみなされていたが、コロナ禍ではそれが正しい行為とされるようになったと指摘しています。
▽ナディア・ウルビナティ「パンデミックとポピュリズム 政治対立と反知性主義とポピュリストの再台頭」フォーリン・アフェアーズ・リポート9月号
朝日新聞「論壇委員が選ぶ今月の3点」8月
毎日新聞『今週の本棚』『コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か』書評を寄稿
本日の毎日新聞に書評を寄稿しています。
mainichi.jp 「対応の遅れ」の印象が強く、そう語られ続けた日本のコロナ対策。公開資料に基づき、その印象と実態は乖離していることを示し(これこそが社会学の仕事!と納得)、「耳を傾けすぎる政府」が生まれた経緯を明らかにしています。