眼窩底骨折と手術
まったくもってみっともないお話ですが、どなたかのお役に立てるかな、と。
11月22日夜半(STS学会の発表が終わって調子にのった)、飲んでタクシーで帰ったあと、タクシーから家に戻る短い距離で転倒しました。コンクリートの地面に顔から。
転ぶのはいつものことだから、と次の日はS先生のナビする福島視察に参加させて頂き*1まして。ただ、その間に顔のあざとか目の腫れとかがどんどん進んでいき、雲行きがおかしくなる。
次の日、顔の擦り傷と内出血がひどかったので、まず皮膚科に行ったら「内出血や擦り傷は治るけど、目の方が心配だねえ」と言われ、その日のうちに近所の眼科へ行くことに。その眼科医の方が、「転倒のときの様子が気になります。うちでは調べる機材がないので、大きな病院へ」と紹介状を渡され、仙台市立病院に行くことになりました。
仙台市立病院(移転して、驚くほどきれいな病院になっていました)では眼科での各種検査から顔のCTを撮り、形成外科へ回されたところ。「眼窩底骨折ですね」と先生に言われる。骨、折れてましたか。
どうやら、眼窩底の骨は薄くできてお り、衝撃に対して眼球を守るために、骨の方が先に折れて眼球を守るらしい。人体ってよくできているなーとか思いつつ「うちでも無理なので、東北大病院へ」と紹介状をもらう。
東北大病院の形成外科で受診したのが12月3日、眼科の一連の検査を受けた後、形成外科の先生に「目の動きは全く異常ないです。手術しなくても問題ないですが、でも手術しなかったら目は3ミリくらい窪みます。どうします? それに、視神経に近いところを手術するので、失明のリスクはゼロではありません」と言われる。
その准教授の先生は「別に手術しなくても」てな雰囲気だったのですが……「自分で決めなきゃいけないのはわかっています、でも先生だったらどうしますか?」と いうお医者様にとっては厳しい質問をしたら「自分が女性だったら手術しますね。2mmでもくぼんだら見た目にわかりますし、あとで手術したいと思っても組織が癒着してしまうので」というお答えだったので、迷いに迷って(超短時間でしたが)手術を選択しました。
そしたら、その日に入院、次の日に緊急手術となりました。こちらの手術の希望したあとの、東北大病院の連係プレーは素晴らしかった。終業時間間際でも、手術前の全ての検査を終わらせるように各所手配してくれました。
そして、次の日、全身麻酔で手術。緊急だったので、30分くらい前にならないと「いつ」になるかわからなかったのですが、15分くらい前に「○時○分に 決まりましたー」と。血圧はかったら上が150超えていて、我ながら緊張体質だと再確認。全身麻酔だと、いわゆるエコノミークラス症候群を防ぐために、着圧ストッキング(膝下の)をはくのですね。
行きは、自分の足で点滴のあれを持ってごろごろさせながら手術室に向かいましたが、帰りはさすがにそうもいかず。全身麻酔が残っている状態の、意識もうろうのところでCTはかってるなーとか、病室に移動しているなーとかそんな感じでした。
目の骨だけの手術とはいえ、その目の側の顔全体が痛い。あたり前です、切ってプレート入れているんだから。このプレートは、溶けてカルシウムとして骨の代わりになるプレートです。腰の骨を代用するケースもあるようでしたが、プレートの方を選びました。安全性は腰の骨の利用の方が高いそうですが、医療の進歩の方を信用してみた。
市立病院では「目立つところ切るので、切開のあと、残りますよ」と言われていたのですが、こちらの東北大病院では目の下から目頭の粘膜から切って手術してくれたので、見た目にはまるでわからない。退院したのは入院から5日目なのですが、その日からメイクもOK、まつげのエクステンションとかつけまつげも問題ないですよーと執刀医の先生(執刀医の方は「助手」という立場だったみたい。新進気鋭の立ち位置だ)に言われる。ただ、その後のコンタクトレンズの使用は、退院後の診断で「まだ待って下さい」との指示がありました。
この愚かな転倒のおかげで、ある東京でのシンポジウムのファシリテーターのお仕事をキャンセルしてしまいました。本当に申し訳ないです。「ニコニコ学会β」も無理かな……と思って、代役に誰を立てるかとか考えていたのですが、なんとか皆様のお助けを得ながら、関わることができました。ありがとうございます*2。
あとのお仕事は、なんとか穴を空けずに済んでいますが、ご迷惑をおかけしている可能性、大。申し訳ありません。自分が目を使う仕事だったんだなと痛感しました(仕事のスピードがさらに遅くなっている)。
眼窩底骨折は、スポーツをする方でも多いそうです。あとは交通事故とか(自転車からでの転倒でも)。どうかお気をつけ下さい。
ただ、今回思ったのは。手術等に関係すると、「選択」をしなければならない場面がこれほど多いのか、と。私は仙台にいて高度医療施設が集中しているところでラッキーだったと思う一方、そうでない地域だとこんなにスムーズに連携できるか? とも考えさせられました。あと、都心だと病院が多いから「どの医師に執刀をお願いするか、どの病院にお願いするか」という別方向の悩みも発生しますね。