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内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

毎日新聞:今週の本棚『世界一美しい数学塗り絵』書評寄稿

しごと アート サイエンスコミュニケーション 書評

 12月18日(日)の毎日新聞に、『世界一美しい数学塗り絵』の書評が掲載されています。

今週の本棚:内田麻理香・評 『世界一美しい数学塗り絵』=アレックス・ベロス、エドマンド・ハリス著 - 毎日新聞

 対象本はこちらです。

世界一美しい数学塗り絵-宇宙の紋様

世界一美しい数学塗り絵-宇宙の紋様

 

  大人の塗り絵が流行っているとはいえ、よくこの本を出版してくれたなあと。「数学は美しい」というフレーズはよく耳にしますが、私はそれを実感したことがない。以前、『考える人』の「数学は美しいか」という特集で、マガジン評を書きましたが

kasoken.hatenablog.jp

 この数学は美しい、ということを、私は死ぬまでに体感する機会があるのか、と思っていました。その願いを叶えてくれたのが、今回書評してくれたこの本です。

 数学の研究者(プロ、アマを問わず)や、世界的デザイナー(三宅一生や、カール・ラガーフェルドは、数学や数式をテーマにしたコレクションを出しています)でない者でも、数学の美を実感し、しかも創り出すことができる。

 塗り絵で大げさな、と思われるかも知れませんが、素人でも「それなりの作品」ができてしまうのです。数学塗り絵という形で、選ばれた人だけではなく、多くの人に数学の美への門戸を開いている。これは数学という学問だからこそ、でしょう。書評にも書きましたが

自分勝手に色を選んだお遊びに過ぎないのに、作品らしく仕上がるのはなぜだろう。おそらく、単なる自己満足だけではない。自分のオリジナルだからと評価が甘くなるのも否めないが、考えてみれば、これは数学塗り絵であるからもっともなことなのだ。本書に示されている紋様には、一定のルールがある。ランダムに色を塗っているつもりでも、知らず知らずのうちに、そのルールを体感し、結果的にそれに従うことになる。ルールに則った色づかいであるならば、美的効果が誕生するのも当然のことだろう。その意味で、本書は身体を動かすことで、数学の一端を知ることができる希有な書だ。

  というわけです。

 例えば、私の塗り絵ですが(塗り絵がお仕事に繋がるのだから、幸せな話だ)

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 これは、表紙にある「曲げられた鉄格子」をお手本通りに塗ってみたもの。絵心がないもので、最初はお手本に従う。

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これは四面体の星。対称性に則って5つの合同な正四面体を組み合わせた図→隣り合う頂点を線分で結ぶと、正十二面体になる、という図とのこと。これも表紙カバーにある見本通りに塗ったつもりですが、いつの間にか自己流になっている。まあこれはこれで良いかなと。

 そして、だんだん図々しくなり、オリジナルの色塗りもしたくなってくる。

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  これは正七面体のタイル張り。正六面体と違って、正七面体になると平面ではタイル張りできなくなる。曲面ならば可能、ということで二次元で現そうとすると、中心から離れれば離れるほど小さくなる。このあたりになると、もう好きな色で塗っているだけ。

 普段、絵を描かない人にとっては、良い気分転換にもなるし、しかも数学の知識まで知ることができるというお得ぶり。訳者の秋山仁氏の巻末解説がありがたい。各ページの元の解説はあまり親切とは言えませんが、巻末で「そもそもフラクタルとは」などの全般的なわかりやすい説明をしてくれますし、タイル張りとスペインのアルハンブラ宮殿のお話などを絡めてくれて、ここだけでも楽しめます。

 色鉛筆とともに傍らに置いておいて、塗り絵をするというのも楽しいと思います。私の色鉛筆は、ステッドラーの水彩色鉛筆(48色)です。色数の多い色鉛筆って、持っているだけで幸せになりません?

ステッドラー 水彩色鉛筆 カラトアクェレル 125 M48  48色

ステッドラー 水彩色鉛筆 カラトアクェレル 125 M48 48色