内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

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WEBRONZA+科学・環境 -「科学リテラシー」って本当にいるの?

「科学リテラシー」って本当にいるの? - WEBRONZA+科学・環境 - WEBマガジン - 朝日新聞社(Astand)
 いつのまにか、サイエンスコミュニケーターなんて名乗る立場になってしまい、そんな中で仕事をしていると「科学リテラシー本当に必要?」という問いを続けることになる(というか、それを疑わずやっているサイエンスコミュニケーターってまずいとは思うんだけど)。
 天下国家の発展のための科学リテラシーでもない、意識の高いプロ中のプロ市民のための科学リテラシーでもない……そうじゃない関わり方は、市民にはできないのか? と。
 きっと、この自問自答はずーっと自分の中で決着がつかないとは思う。だけど「不要不急の科学リテラシー」があっても悪くないよね、ということで。

 楽しみとしての科学、文化としての科学である。ただ、この「科学って楽しいよ!」という主張もまた、万人に通じるものではないことはわかっている。人には好みがある。そんな疑いを一片も持たずに、キラキラした目で「科学リテラシーは必要です、科学は素晴らしいです、さあ皆さんご一緒に!」とやられてしまうと、人によっては鬱陶しいことこの上ないだろう。
 でも、不要不急の科学リテラシーというものがあっても、悪くはない。というか、リテラシーとは、目先の何かの役に立つというより、そもそも、そのなようなものではないだろうか? 今まで見られなかった世界を垣間見させてくる「新しいめがね」を喜んでくれる物好きな同類が、まだまだこの世界に隠れているに違いない。そんな同類探しの期待を胸に、サイエンスコミュニケーションをしていきたい。