内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

長野市民教養講座『文明史における科学・技術と社会変動』講師

長野市民教育講座『文明史における科学・技術と社会変動』で、講師をつとめてきました。

カシヨ株式会社【企業情報】─長野市民教養講座─

私のお話ししたテーマは「科学の発展と、科学離れ」。科学(と技術)が発展すればするほど、私たちの世界から遠く離れていく。それを、私たちの手に取り戻すためにはどうしたら良いか……という話を、C. P. スノーや R. ウィリアムズ、そして大森荘蔵の言説から考えてみました。

 こちらのカシヨ情報グループさんが開催している「長野市民教養講座」ですが、もう30年以上続いているとのこと。企業のCSRとして、このような市民向けの講座が続いていることは素晴らしい。そして、受講されている方々も、勉強熱心で私も刺激になりました。

 長野駅で降りたのは初めてだったので、善光寺に寄ってきました。

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 時間がなかったので、短時間しかいられなかったのですが、いろんな意味で興味深い。善光寺は歴史があるお寺。多くの人びとにとって支持されるお寺のあり方とは? などと考えてしまいました。お参りするだけで「楽しい」。その楽しみを与えてくれる場として存続してきた重みを感じます。今度は、ゆっくり伺いたいです。

信濃毎日新聞「夏休みの一冊」『宮沢賢治の元素図鑑』書評

宮沢賢治の元素図鑑ー作品を彩る元素と鉱物

宮沢賢治の元素図鑑ー作品を彩る元素と鉱物

 

 信濃毎日新聞の「本紙書評委員10人が選んだ夏休みの一冊」で、桜井弘著『宮沢賢治の元素図鑑』化学同人の書評を寄稿しました。

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元素研究で名高い桜井弘さんが、宮沢賢治にも通じていたという。桜井さんの解説から、賢治の文章から科学の要素を見出して「科学者としての賢治」を楽しむことができます。さらに、豊遥秋さんの鉱物写真で彩られているという。贅沢な一冊です。元素好きにも、賢治好きにもぜひ手に取っていただきたい本です。

毎日新聞・書評『どもる体』

 毎日新聞の「今週の本棚」に『どもる体』の書評を寄稿しました。

mainichi.jp

どもる体 (シリーズ ケアをひらく)

どもる体 (シリーズ ケアをひらく)

 

 吃音という難しい障害に焦点を当てた本ながら、深刻になりすぎない形で描き、誰もが「その感覚わかる……」と感じるであろう一冊。この本の「軽やかさ」「受け入れやすさ」は著者の文章の巧みさ、装丁、編集……が相まって出来上がったのでしょう。ベストセラーになって版を重ねているのも納得、おすすめです。

四谷大塚『Dream Navi』2018年8月号・インタビュー記事掲載

  四谷大塚が発行する『Dream Navi』2018年8月号に、インタビュー記事が掲載されました。

Dream Navi 2018年 08 月号 [雑誌]

Dream Navi 2018年 08 月号 [雑誌]

 

 「なぜ勉強するの?」の特集で、私は「新しいことを知ると自分が好きになれる」とのお話をしましたが……さて、これで答えになるのでしょうか。子供にとって「なぜ勉強するの?」という問いは切実で、そして大人からは答えにくい。「これ!」というわかりやすい答えはないのでしょう。他の方々のインタビュー記事、興味深いです。

 

毎日新聞 今週の本棚『人形論』

 本日の毎日新聞の「今週の本棚」欄に、書評を寄稿しています。

mainichi.jp

 

人形論

人形論

 

 2年前に亡くなられた科学思想史の金森修さんの遺作『人形論』。様々な人形を評論しながら、命や魂とは何ぞや?と探る本。

信濃毎日新聞 書評『世界を変えた50人の女性科学者たち』

 信濃毎日新聞に、レイチェル・イグノトフスキー著・野中モモ翻訳『世界を変えた50人の女性科学者たち』創元社の書評を寄稿しています。

世界を変えた50人の女性科学者たち

世界を変えた50人の女性科学者たち

 

 性別だけでなく様々な壁と闘った女性たち。誰にでも勇気を与えてくれる美しいビジュアルブックです。

『100年後の世界』(化学同人)刊行記念トークセッション・登壇

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鈴木貴之氏『100年後の世界』刊行記念のトークセッションで、お相手をつとめさせていただきました。

www.kagakudojin.co.jp

 鈴木先生の所属は総合文化研究科。(案内文の肩書きは学部と大学院で違っていましたが)私と同じ職場の先生でもあります。科学哲学がご専門。

  SF映画を導入に、生殖技術、AI、ロボット、ビッグデータなど最先端技術について問いを投げかけていきます。SF映画に詳しい人も、詳しくない人も大丈夫。その映画を知っている人でも楽しめますし、知らない人でもその映画を観たくなるでしょう。

 あと、「耳にしたことがあるけど、わからない」先端技術の概観について知りたい人にとってもお得です。生殖、遺伝子、バイオ、能力増強(エンハンスメント)、サイボーグ、不老長寿、人工知能、ロボット、情報、マインド・リーディング、「考える心の操作」、仮想現実と揃っています。

 これらのテクノロジーを私たちが扱うために、「これ」といった答えはありません。著者の鈴木さんも提示していません。みんなで考えていく、答えが出ないけど考え続ける問題群なのです。というわけで、第15回分のアクティブラーニング型授業の題材にも最適です。教科書としてもおすすめです。

 さて、イベント当日ですが、盛会のうちに終わりました。「素人さん……じゃ、ないですよね?」と思える参加者の皆様が多く、熱心でしかも鋭い質問がたくさん飛んできて、トークイベントとして盛り上がりました。私も楽しめました。

 会場のBOOK LAB TOKYO、ここも良いですね。

booklabtokyo.com

 最近、「書店」という場を通じたサイエンスコミュニケーションについてあれこれ考えを巡らせているのですが、改めて書店や図書館を通じたサイエンスコミュニケーションについてアプローチしたいと思った次第。