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内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

日本経済新聞・書評『イチョウ 奇跡の2億年史』

 日曜日の日本経済新聞に、書評が掲載されました。

イチョウ 奇跡の2億年史: 生き残った最古の樹木の物語

イチョウ 奇跡の2億年史: 生き残った最古の樹木の物語

 
 日経のウェブ版に(無料)登録されている方であれば、以下のリンクから読むことができます。

 イチョウ 奇跡の2億年史 ピーター・クレイン著 「環境変化を生き抜いた種の歴史」

 古生物としてのイチョウからはじまり、イチョウがどれだけ生物として生き残りやすいかという科学の話からはじまり、宗教のシンボルとしてのイチョウ、食や薬に使われるイチョウ、街路樹としてのイチョウ……さまざまな観点から描かれており、なるほど! という発見があちこちにある楽しい一冊です。

 原稿には書きませんでしたが、ここでも大巨匠ゲーテが登場します。当時、ヨーロッパでは目新しかったイチョウにゲーテは注目し、イチョウにかけて、親友の(注:自分のではない)婚約者にあてて書いた詩がある。

「おまえはもともと1枚の葉で自身を二つに裂いたのか?それとも二つの葉だったのに寄り添って一つになったのか?」

 ちなみに、この女性からはふられています。しかし、見聞きしたことは何でもラブに持ち込み、そして体験したことは何でも作品として昇華するゲーテの才能には感嘆します。

 冒頭、大学時代のくだらない伝説を入れてしまって「こんなの入れても大丈夫でしょうか……?」とおそるおそる記者さんにお伺い立てたところ、大丈夫です! と。ありがたい。

 今、地球上には絶滅しつつある種は多い。しかし、人間はイチョウのように種を守ることもできると本書は教えてくれる。秋の黄金色の並木にうっとりしながら、私たちができることを考えても悪くはない。