読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

ミュシャ展に行ってきた

 現在、宮城県美術館での特別展、ミュシャ展を見てきました。
ミュシャ展 - 宮城県公式ウェブサイト
 ミュシャはけっこう昔から好きで、かつて渋谷のBunkamuraで見た記憶が。でもあの華麗な「いかにもミュシャ」というイメージを覆してくれるような展覧会でした。

 商業ポスター、パッケージで売れっ子だったというのが今見直すと興味深い。「文化はみんなのもの」と言いながら、商業広告を批判するレイモンド・ウィリアムズだったらどう言うんだろう? ミュシャのあのポスター群はまぎれもなく芸術でしょう。パトロンに依頼されて絵を描く、というのは画家としてよくあること、だと思うのだけど、さらにクライアントに依頼されて「売れるように描ける」才能があったんですね。商業ポスターなので、文字が入るのですが、いちいちフォントも美しいし、周囲に配置されるモチーフもいい。ここであのミュシャ様式ができあがったんだなと。デザイナーとしての才能もうかがい知れる。

 あと、彼には「美の普及」という啓蒙の志もあったらしく、何枚も作れるリトグラフ画を多く描いたのはそのせいらしい。一枚画だと、お金持ちしか買えないですからね。リトグラフだったら、安価でそこまで裕福じゃなくても家に飾ることができる。
 ミュシャお得意のアレゴリー(寓意画)による連作パネル、「四季」「四芸術」「四つの宝石」「月と星」はただただ美しい。最後の「月と星」の「らしくない」神秘的な様子が一番気に入ったかな。

 晩年はひたすら祖国チェコスラブ民族のために尽くす。祖国がオーストリア支配下にあって苦しんでいるのに、オーストリアから仕事を受ける自分の矛盾に悩んだそうな。そして祖国に戻り、建国されたばかりのチェコスロヴァキア政府のために尽くし、スラヴ民族のために「スラヴ叙事詩」を作る。残念ながら「スラヴ叙事詩」そのものは見ることができなかったのだけど、習作でも充分その迫力は伝わってくる。あの「ミュシャ様式」の面影はまるでない。

 プラハ、行きたくなりますね。プラハ市民会館ホールにあるミュシャの絵は見ることができるみたいだし、ヴィタ大聖堂のステンンドグラスの実物も!