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内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

プラハ土産:マリオネット

つれづれ 買い物

 プラハに行ったら買いたいと思っていたお土産が、マリオネット。そして、できれば作家さんが作ったものが欲しいと思っていたので、こちらのお店、Shop AMI puppets に伺いました。

www.loutky.cz

 店内はこのような感じです。

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 写真はお店のウェブサイトからお借りしました。テンション上がる! どれも欲しい。ただ、大きいものは持って帰るのが大変ですし、ど素人が飾るだけではマリオネットが気の毒。ということで、迷いに迷って3つ購入。全部同じ作家さんでした(お店の方が教えて下さったのですが、お名前を忘れてしまいました……チェコの方の名前は覚えにくい……)

IMG_4769 民族衣装がかわいらしい村娘。5-6体並んでいたのですが、どれも衣装の造りも細やかで、全部欲しかった。これだけにしようと思ったのですが、もう少し小さめの王様と女王様も入手。

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 この2つも衣装の細工が見事です。

 今になると、河童みたいな「ヴォドニーク」とか、悪魔とかキモカワイいのも欲しかったなあとも後悔。でも、家中マリオネットだらけになってしまいますね。あと、暗がりで見るとびっくりするかも。

 壁にとりつけるために使ったフックはこちら。

ハイパーフック かけまくり メタルフックWT HHT23M-S2

ハイパーフック かけまくり メタルフックWT HHT23M-S2

 

 これ使えます。ただ、このマリオネットの場合、そのままかけるとフックの向きが合わず、傾いてしまうので

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 間にクリップ使いました。三次元が苦手な私にしてはよく思いついた、とこんなところで満足。

 

日本経済新聞:書評寄稿『ヒトはどこまで進化するのか』

しごと 書評

  本日の日本経済新聞の朝刊に、書評が掲載されています。

style.nikkei.com

 対象本はこちらです。

ヒトはどこまで進化するのか

ヒトはどこまで進化するのか

 

  生物学の大家、ウィルソンが高校生向けに書いたウィルソン生物学の集大成。彼の提唱した社会生物学は、「生物学決定論だ」などと言われ、批判を浴びましたが、ウィルソンの立場は決してそうではありません。自然科学も人文科学もそれぞれ役割も方法論も違うけど、お互いに強みがあるから統合していこうではないか、という提案です。邦題は「ヒトはどこまで進化するのか」ですが、原題は"The Meaning of Human Existence" 。ヒトなる存在の意味に迫ろうと挑戦する本なので、原題のほうが内容に近いかもしれません。

 啓蒙主義の時代は、人文科学も自然科学も「自然哲学」という名で一体化していた。それが20世紀半ばから「二つの文化」と呼ばれるようになり、乖離していくようになった*1
 自然科学の知見は数多く得られ、人間がどのような存在なのかも、心理学や認知科学等でわかるようになってきた。ただ、自然科学で解明されたからといって、そう「すべき」と単純に考えることはできない。この「自然科学の誤謬」を、本書の解説で長谷川眞理子氏が丁寧に書かれています。

 そこで、科学的知見を取り入れつつ、人文科学がこれまで多様な発展を遂げてきたように新たな展開をしていくことが、ヒトの新たな進化であり、生きる意味ではないかとウィルソンは説くわけです。つまり、自然科学と人文科学の協働。

 書評にも書きましたが「自然科学は私たちを救ってくれない『冷たい』学問だと感じる人も、人文科学を『役に立たない』と考える人にも手にとってほしい一冊」です。

*1:本文中では触れられていませんが、C.P.スノーの『二つの文化』のことですね。

日本民間放送連盟賞/2016年(平成28年)入選作品:発表

しごと 審査員

 日本放送連盟賞(2016年)の入選作品が発表になりました。

表彰番組・事績 | 一般社団法人 日本民間放送連盟

 私は引き続き、テレビ教養部門の審査員を務めさせていただきました。最優秀作品、優秀作品は以下の作品です。

最優秀
『ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ ~カラーフィルムに残された復興への祈り~』 WOWOW
優秀
『廃校はアカン!~熱血“ホンマちゃん”、北星余市高に生きる~』 北海道放送
『SBCスペシャ長者原騒動記』 信越放送
『人生フルーツ ある建築家と雑木林のものがたり』 東海テレビ放送
和風総本家 日本という名の惑星・パラオ編』 テレビ大阪
『じいちゃんの棚田』 テレビ愛媛
『いのちを伝える~元食肉解体作業員の挑戦~』 熊本県民テレビ

 いずれも見応えがあり、初めて知ることも多く、教養部門に相応しい作品でした。おめでとうございます。

 個人的に一番印象的だったのは、熊本県民テレビの『いのちを伝える~元食肉解体作業員の挑戦~』でした。元食肉解体作業員の方が優れたコミュニケーターとして、「肉をいただくということ」だけでなく、自分たちの職業への差別という現状も伝えているという点。よく番組内で職業差別の問題まで切り込めたなあと。
 「食肉解体の仕事が差別されていると知らせることは、むしろ差別を顕在化させてしまうだけではないか」という(元)同業者たちからの懸念もあったみたいですが、差別があることを伝えなければ、差別の問題もなくならない。実際、少しずつではあるようですが、周囲の目が変わってきたと番組内でも語られていました。

 昨年も書いたのですが、地方局でこのような良作が作られているのに、一部の人しか見ることができないのはもったいない。有料でも良いので、ネット配信してくれると良いのにとつくづく思います。

 

『オレンジページ』2016/10/2号「暮らしのトリビア劇場」監修

しごと 監修

  雑誌『オレンジページ』2016年10月2日号のコーナー、「あななたち、まだ知らなくって!? 暮らしのトリビア劇場」で、監修という形で協力させて頂きました。 

 8月17日号に続き、2回目です。

kasoken.hatenablog.jp

  今回のテーマは、「私の美しいいか刺しをお食べあそばせ」です。今回、「高飛車お嬢様」の指導にあたるイケメン執事は、体育会系の「料理執事」だそうな。毎度、マンガが面白いので、回答も含めてぜひご覧下さいませ。

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 今号のオレンジページは、一冊まるごと『「家飲み」バイブル』で、それに合ったコーナーの内容になっています。しかし、この号……おいしそうなレシピだらけで、目に毒です。

 

カレル橋&大道芸

つれづれ

 プラハの名所のひとつであるカレル橋 (Karlův most)。旧市街地と(プラハ城)城下町に横たわるヴルタヴァ川(モルダウ川)結ぶ、15世紀にできた橋です。宿泊したホテルが両方とも城下町側だったので、滞在中に何回も渡りました。

 カレル橋から眺める景色は絶景。

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 ただでさえ多いプラハの観光客が集まっているので、予想以上の賑わいよう。旧市街地寄りは深夜まで混雑しています(プラハの飲食店の閉店時間は23時頃が多い)。

カレル橋入り口

 夜のライトアップもきれいです。しかし、プラハの街全体の夜の景色、照明の使い方が上手で「ぼやー」っと浮かんでるように見える。どのようにライトアップしているんだろう? あの雰囲気がまさに「おとぎの国」感を増しています。

 橋の上では、露天もあるし、似顔絵描きの人もいるし、大道芸人もいる。その大道芸のレベルが高かったりするから驚き。カレル橋近くのレストランで食事していたとき、良い感じにヴァイオリンソロがBGMになっていたんですが、このヴァイオリンもカレル橋の大道芸人が弾いていました。普通以上にお上手だった気がするのですが。

 私はマリオネットの大道芸がお目当てだったのですが、意外といらっしゃらない。でも滞在時の最後の方で発見!

【動画】クリックすると再生されます(注:音が出ます)。

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 このおじさま、てきとーな感じでマリオネットを操っているのですが、本当にギターを弾いているように見える。

 ギター弾きのマリオネットって多いんでしょうか? 浦沢直樹氏の『MONSTER』でも登場しますね。下はルンゲ警部がプラハに到着し、カレル橋にいるところ。ルンゲが観ているのもギター弾きのマリオネット。

12巻第1章長い休暇

浦沢直樹『MONSTER』12巻1章「長い休暇」より)

Monster (12) (ビッグコミックス)

Monster (12) (ビッグコミックス)

 

  プラハ到着後のルンゲ警部の核心への迫り方は、惚れ惚れするぐらい見事ですよねえ。


国立マリオネット劇場

アート つれづれ

 プラハでのオペラ3日連続鑑賞の最終日は、マリオネットでの「ドン・ジョバンニ」。

National Marionette Theatre – About Us

 チェコといえばマリオネット。マリオネットでオペラを演じるのはどんなものか、と興味津々で国立マリオネット劇場へ。

 この劇場は、オーストリア=ハンガリー帝国の支配下で、チェコ語の使用を禁止されていた時代に、唯一チェコ語を使って上演することが許されていたのがマリオネット劇だったとか。

 こぢんまりとした劇場ながら、歴史を感じさせます。チケットを予約していなかったので早めに行きましたが、上演時には満席。9月に入ってハイシーズンを過ぎていたから予約なしでも大丈夫だったのかもしれませんが、予約していた方が安心かもしれません。

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  実は、正直それほど期待していなかったのですが、クオリティの高さに驚きました。子供も楽しめるコメディ演出にしているのですが、大人も唸る人形遣いの技。2時間は長いのでは? と思っていましたがあっという間。

【動画】クリックすると再生されます(注:音も出ます)。

マリオネット・ドンジョバンニ2

 人形遣いの人たちの、複数人の息の合った連係プレイもすごい。どの紐をどう動かしたらこんな動きになるんだ? と色々考えながらだから観ているだけでも忙しい&頭使う。上から人が動かすマリオネット、人形遣いの手の動きも含めて鑑賞に値します。

 そして、終盤に登場する石像になった騎士長がなんとゴーレム*1ユダヤ教の言い伝えにある動く泥人形)! ゴーレムはマリオネットではなく、人が入った着ぐるみです。

【動画】クリックすると再生されます(注:音も出ます)。

マリオネット・ドンジョバンニ

 チェコならではの演出だなあと。この国立マリオネット劇場もユダヤ人地区の近くにありますし。

 「ドン・ジョバンニ」の騎士長といえば、映画にもなった「アマデウス」のピーター・シェーファーの脚本にある「モーツァルトの亡くなったお父さん説」に、これまで頭が占められていましたが、この解釈はなるほどねえと唸る。

 マリオネット劇、チェコならではの素晴らしい文化ですね。何らかの制約があると、あるものが突出して発展する典型の一つかもしれません。

 そして、思わず藤田和日郎氏の『からくりサーカス』の白銀と白金のプラハでのこの場面が頭に浮かんでしまいました。

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からくりサーカス』15巻(藤田和日郎)より

  チェコのマリオネット文化に、すっかり夢中です。

*1:チェコのユダヤ人街で特にゴーレム伝説が有名な話は、黄金のプラハ―幻想と現実の錬金術 (平凡社選書)

に詳しいです。

チェコ国立博物館

つれづれ サイエンスコミュニケーション

 プラハのヴァーツラフ広場といえば、プラハの春ビロード革命の舞台となった場所。そのヴァーツラフ広場の端に、国立博物館があります。

 この国立博物館チェコ最大の総合博物館で、本館は19世紀末に建造されたルネサンス様式の建築物で国の文化財にも指定……なのですが、2018年まで全面改装工事中。

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 残念。でも、プラハの街を歩いていると、工事中のところだらけです。建造物も、石畳も。この各種様式の建造物が大事に残されていることが、プラハという街の価値であることが理解されているのだと思われます。

 お向かいにある新館は見ることができます。

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 新館では"Noah's Ark" (ノアの箱舟)という企画展示をしていたので、それを見てきました。

www.nm.cz 歴史のある国の博物館で見られる「これでもか、と物量で圧倒させる」という展示*1かなと思いきや、教育的かつ学術的、しかも配置等も工夫が感じられる勉強になる展示でした。ただ、これは長期間とはいえ企画展ですし、本館を見ていないので、これだけでチェコ国立博物館を語ることはできないのですが。

 「ノアの箱舟」というテーマに沿って、生物多様性、種の保存について展示しているのですが、小難しくならずにわかりやすい。何よりも、大量の剥製が並んでいるのが圧巻です。

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Noah’s Ark - Národní muzeum


 写真を撮っても良かったらしいと後で気付き……ウェブサイトの写真をお借りします。

 どこからこんなに大量の剥製を集めてきたんだろう。学術目的か、それともかつての富裕層が収集してきたものか*2? それぞれの種の動物が、とっておきの決めポーズでこちらをを見据えている様はひたすら格好いいし、恐ろしいほどの迫力。とまあ、剥製だけを眺めているだけでも楽しいのですが、それぞれの剥製に、その生物の説明と共に、国際自然保護連合(IUCN)レッドリストのカテゴリも表示されていている。そのレッドリストのカテゴリの違いも、最初に丁寧な説明があるのですが、忘れそうになる頃に随時簡単な説明が置いてあるという心遣い。

 イケ動物の剥製をただ並べているだけでなく、地域ごとに別れており、外来種の説明も入る。そして、チェコ近郊で行われている種の保存活動の解説もある。

 パネルの説明もわかりやすくて良いんですよね。

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 これなんて、地球の歴史とともに、どの時代にその種が繁栄したか(そしていつ絶滅したか)が一覧でよくわかる。このポスター欲しい(と思ったけど、売ってなかった)。

 このように、大人も子供も楽しめる質の高い展示が期間限定とは勿体ないです。もし機会があったら、修復後の本館も、他の企画展も見てみたいです。

*1:例えば、インドのニューデリーにある国立博物館とか。貴重そうなものがたくさん並べられているのだけど、その貴重そうなものが無造作にごろっと置かれていたりする。

*2:英語の情報だけではわかりませんでした。