朝日新聞の論壇時評の欄に、「論壇委員が選ぶ今月の3点」が掲載されました。
私の担当する、科学技術からは以下の3点です。
▽中澤港、川端裕人「新型コロナ、本当のこと 『研究室』に行ってみた特別編 神戸大学」(Webナショジオ、5月12日~)
<評>作家・科学ジャーナリストによる、公衆衛生学の専門家へのインタビュー連載。ウイルスの性質やPCR検査数についての議論の解説などが、一歩引いた立場からわかりやすくまとめられている。現時点で読める適切な「教科書」だ。
▽「独『科学アカデミー』がコロナで大活躍」(選択 5月号)
▽小野昌弘「『夢遊病国家』から脱却せよ 英国の背中から何を学ぶか」(Voice 6月号)
今回、「3点」に入れることはできませんでしたが、
玉手慎太郎「感染予防とイベント自粛の倫理学」『現代思想』5月号
も非常に勉強になりました。公衆衛生倫理学の立場から、イベント自粛要請について「前向き責任」「後ろ向き責任」と責任の規範をわけて検討した論考です。
「自粛警察」は、個人の行動を責めるという、まさに後ろ向き責任を問うものでしょう。 感染症対策は前向き責任(当人の置かれた状況に応じて、将来ある特定の行為を遂行することを望ましいとみなす規範)としてとらえるべき、という玉手さんの主張は、今後広く共有されるべき指針だと思います。
青土社 ||現代思想:現代思想2020年5月号 緊急特集=感染/パンデミック