内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

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毎日新聞『今週の本棚』書評『ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿 科学者たちの生活と仕事』

 毎日新聞に、書評を寄稿しました。

mainichi.jp

 ルネサンス期から17世紀の科学者の多くは、パトロンのもと研究活動をしていました。今の新型コロナウイルス対策に巨額な資金を投下している、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の活動は、現代のパトロンとしてのお手本に見えます。

 ニュートンが生涯に成し遂げた業績の大部分は、ペストの流行期に生まれました。ニュートンは大学入学当初、学内で働く代わりに授業料を免除される免費生で忙しかった&大学になじめなかった、ようです。ペスト流行で実家に避難することになったのですが、ニュートンの場合、大学よりも避難先の故郷の方が能力を発揮できる環境だったとのこと。

 今の大学もオンライン化が急速に進んでいますが、この環境でこそ力を伸ばす学生さんもいるかもしれません。

 また、20世紀の物理学者、ヴェルナー・ハイゼンベルクも「避難中」にめざましい成果を挙げたひとりです。ハイゼンベルグは枯れ草熱(花粉症)の避難時に、行列力学の業績を残しました。不確定性原理を発見したのは、師匠ニールス・ボーア(議論好きでうるさい)がスキー旅行で離れていた最中です。ハイゼンベルクはボーア宅で下宿中だったのですが、師匠がいないときの「鬼の居ぬ間の洗濯」的な発見?
 科学者たちのこのような「裏話」は、拙著に書いていますので、ぜひ。

 

 

ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿 科学者たちの生活と仕事