信濃毎日新聞に、工藤庸子著『政治に口出しする女はお嫌いですか?:スタール夫人の言論 vs. ナポレオンの独裁』勁草書房、の書評を寄稿しています。
政治に口出しする女はお嫌いですか?: スタール夫人の言論vs.ナポレオンの独裁 (けいそうブックス)
- 作者: 工藤庸子
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2018/12/26
- メディア: 単行本
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「共に考える伴侶」たちと語りながら、その知性と言論を磨き上げていったことに注目したい。今の社会に求められているのは、公共圏と親密圏を行き交う「ソシエテ」を大事に扱うことだろう。
公共圏と親密圏の間に位置する「サロン」を通じて、ナポレオンの独裁に対抗したスタール夫人。あの時代にこんな格好いい女性がいたのか、と驚きです。
このスタール夫人、「大河ドラマで見たい」と思うくらいスケールが大きく魅力的な女性。もしかして?思いながら池田理代子の『皇帝ナポレオン』を読み直したら、1巻からスタール夫人が出ていました。むかーし読んだ時には気づきませんでした。
米国建国の父の一人、ベンジャミン・フランクリンの逸話も面白い。英国在住歴が長いにもかかわらず、あえて米国風(当時のフランスから見れば、"田舎"風)のキャラで、パリの貴婦人たちの注目を浴びる。で、サロンの主人に求愛してフラれるという「儀式」をやってのけ、さらに人気を得る。同時に在仏の外交官として大活躍したという。フランクリン、多様な業績を残しているが処世術にも長けていたか、と。当時のパリのサロンは、ラブレターもサロン内で読み上げられて公開されたとのこと。だから、「フラれる」プロセスを粋に演出することがウケることも織り込み済みだったことか、フランクリンは。