本日の毎日新聞で南方熊楠の生誕150周年を記念した鼎談書評が掲載されています。鼎談書評は、毎日新聞の読書欄「今週の本棚」で企画される企画です。月に5回目の日曜日がある日に掲載されます。前は憲法の回でお呼ばれしました。
鼎談書評は、公開の読書会という趣でしょうか。ひとりで読むより、数人で読んで語り合う方が勉強になるよね、的な。
今回は池澤夏樹さん、中島岳志さんとご一緒しました。鼎談そのものも刺激的で勉強になります(私なんかはついていくのに精一杯)。そして、南伸坊さんに似顔絵を描いていただけるなんて、なんて役得(前は和田誠さんでした)。熊楠のキノコの図譜風イラストですね。
対象本はこちらの三冊。
熊楠研究で名高い、松居龍五さんの決定版。今のところの熊楠研究の決定版でしょう。南方熊楠のバックグラウンドがよーく理解できます。
池澤さん編集の日本文学全集の「神社合祀に関する意見」。この文章だけでも、熊楠が古今東西を縦横無尽に駆け巡る学問をした者であることがわかります。そして、彼の書く文章はひたすらロジカルで惚れる。
私が提示した本です。「粘菌」というお題を頂戴したのですが、キノコの本です。粘菌で有名な南方熊楠ですが、粘菌での優れた書籍が見当たらない(私の観測範囲ではありますが……ご存じの方いらっしゃったら、教えて下さい)。これは、熊楠がいかに優れたサイエンティストであるかを伝えています。彼の科学研究の方法も非常に興味深い。地元の人たちとの共同体を作っている。いわゆるアカデミズムに属してはいないので「アマチュア」と言われるのでしょうが、世界的に勝負できるだけの研究共同体を形成している。
拙著でもかつて南方熊楠を取り上げたことがありますが、
面白すぎる天才科学者たち 世界を変えた偉人たちの生き様 (講談社+α文庫)
- 作者: 内田麻理香
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/03/18
- メディア: 文庫
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まあ、こんな風に彼の特異なキャラクターに注目したくなりますし、そのことに言及して終わりのようなコンテンツは多いのですが(自分も反省している……)今回の鼎談書評は、南方熊楠の業績の方に焦点を当てたものになっていると思います。