内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

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批判する書評の条件とは?

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 先日、毎日新聞の書評員の「書評パーティ」に行ってきた。あの方も、この方も! でテンション上がる。ただ、前回行ったときは、書評員になったばかりで場違いで小さくなっていたのですが、3年目ともなると、自分の書いた書評を読んで下さり、名前を覚えて下さる方々もいて居心地が良かった。ちなみに、毎日の書評員は(朝日や読売と違って)年限がなく、定期的な会合もなく、自由に好きな本を選んで下さい、という(だからこその、年に一度の書評パーティ)。この「好きな本を選んで下さい」は、嬉しくもあり、プレッシャーでもある。

 毎日新聞の書評欄は、故・丸谷才一先生が全面的に改革したのだが、基本的に「褒める書評を書こう」という方針だったらしい。ただ、池澤夏樹先生曰く丸谷先生は批判してもよい対象の本とは

・著者が大家

・ベストセラー

 であるらしい。もう一つの条件は池澤先生もお忘れになったようで。
確かに、新聞書評は、その本の売れ行きを左右する。その点では、批判も大ありの学会誌の書評と異なる(まったく立ち位置が異なるが)。その意味で丸谷先生の仰ったことも納得がいく。

 でも、書評をしている身であると……ベストセラーを書評したくない(既に売れている本ではなく、発掘したいという願望がある)、自分がつまらないと思う本に手をかけたくない。周囲の人たちと「そんな本対象にしたくないよね」と、ぼそぼそと。

 やはり、(毎日新聞の場合、書評したい本を自由に選べる。先着順だが)気に入った本を書評したい! と皆さん思うのではないか。少なくとも私はそうだ。