内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

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【追記あり】[しごと][書評]毎日新聞『パンダが来た道』書評掲載

パンダが来た道: 人と歩んだ150年

パンダが来た道: 人と歩んだ150年

 23日の毎日新聞の「今週の本棚」に寄稿しています。
 この本は、ネタ満載で本当に面白くて! ぜひ読んでいただきたいです。そして、いろいろ考えられさせられます。
 パンダが中国の切り札としての外交に使われていることを御存知な方は多いでしょうが、その歴史を含め「アイドルってたいへんなのね……」と俗なことを考えながら読んでいました。ちょうど、オリンピックの時期に読んでいたこともあり、浅田真央選手と重ねてしまいましたよ。

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今週の本棚:内田麻理香・評 『パンダが来た道−人と歩んだ150年』=ヘンリー・ニコルズ著

パンダのお見合い問題はメディアの格好の標的になった。英国のパンダをソ連のパンダとお見合いさせた最初の例では、繁殖は失敗に終わる。そのときの新聞等の見出しはさながら、現在の有名人のスキャンダルなどを取り上げるメディアの報道と変わりがない。

 というわけで、本当に可哀相なんです。最初は狩猟の対象にされ、のちにジャーナリズムの格好のエサにされ。アイドルってたいへん。

 この本では、「英語圏では、人気がある一方で、バカにされるのは、パンダのお見合いなどにまつわるイエロージャーナリズムのせいでは」的なことが書かれていたけど、日本も同じかもしれません。「人寄せパンダ」「パンダ扱い」という言葉はプラスの意味では使われませんよね。
 考えてみたら、他の動物にもある。「どろぼう猫」「○○の犬」「女狐」「古狸」「猿まね」…他にもあるかな。

 さらに、動物園で飼育されるパンダの繁殖として、オスのパンダが「電気射精法」で精子をとられるという話に驚いた*1。それで、オスのパンダが傷つくこともあると。もはやこれ、動物愛護と、動物虐待かどちらかわからないですよね。お知り合いの倫理学者にお伺いしたら「かなり難しい問題。絶滅危惧種はそのままにすべきという意見もある」とのこと。

 しかし私は「絶滅危惧種」と聞くと「下町アイドル!」と反射的に連想してしまう、「あまちゃん脳」です……。

【追記】
 本紙に掲載されたものを見たら、私の憧れの"COVER DESIGN"のコーナーに、書影の紹介をしてもらいました。嬉しい! 書籍は装丁含め…だと思うので、ここに載せていただけて光栄です。さすが「アイドル動物」!

[http://mainichi.jp/shimen/news/20140323ddm015070040000c.html:title=今週の本棚・CoverDesign:『パンダが来た道』:毎日新聞
]

*1:「電気射精法」について詳しいことはググってください……。