
- 作者: レイモンドウィリアムズ,Raymond Williams,椎名美智,越智博美,武田ちあき,松井優子
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2002/08
- メディア: 単行本
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ウィリアムズの言論は、マルクス主義を背景としていて、「ニューレフト」という言われ方もする。そして、この「辞典」は、決して中立的なものではなく、彼の思想に寄ったもの。自分たちに関係するキーワードを厳選し、ラテン語・ギリシア語などの語源から歴史を振り返り、ウィリアムズ流に、そのキーワードに含まれる「権威性」「差別的構造」を、ばっさりと抽出する。これがまた痛快。(私にとっては)萌え萌えの本です。
特に、「文化」とか「社会」という言葉に興味のある方は面白く読めます!……と思いつつ、一方でこの手の解釈を嫌う人も相当数いるかもしれない。好き嫌いがはっきり分かれるかな? ちなみに「科学」とか「科学技術」のキーワードもあります。
ちなみに、みんな大好きなオックスフォード英語辞典(OED)に対する批判も序文にあり(たいした批判ではない)。それに対し、OEDの編纂者が「(ウィリアムズが嫌う)権威でもって」反論したという解説のエピソードがあって、笑えました。
ウィリアムズの主要テーマとしては、自らの出身「田舎」もあるんですよね。都会からの目線で、田舎「平和・純粋無垢・素朴」というイメージを押しつけながら、同時に「後進性・無知・偏狭」というイメージも併存している。私は仙台市という中途半端な都会に住んでいるため、その「田舎」のテーマに関してもいろいろ知りたいなと思った次第。研究テーマからは外れてしまうけど。