先月、一日に立て続けにある数学者のおふたりにインタビューをした。私の役割は「数学」という世の中にとって遠い遠い分野を、少しでも世間に知ってもらうための仲介役という感じ。
「自然科学」と「数学」は別物だ(……らしい。今までその違いもわからなかった)。というわけで、私もド素人として一連の数学者の皆様のインタビューに関わっているのだけど、これがまた刺激的。
「数学やっている方は、どんなメガネを使って世の中を見てるか気になります」とある先生に聞いたところ、
「物理や化学とかは、メガネを使って対象物を見ますよね、でも数学はそのメガネを作りたいと思ってやっているんです」と。
ああああー、なるほど、と目からウロコ。続けて彼が言うには
「いいメガネを作ったと思っても、ピンぼけだったり。最高のメガネを作ったと思ってもそれが重すぎて使い物にならなかったり。またはすごい良いのでも、見るものがなかったり」と。
世の中にはいろいろなメガネがある……と私は思っている。自然科学というメガネもそうだけど、美術も、哲学も、音楽も、文学も、経済も、経営も。メガネをかけかえると、世界が違って見える。だからこそ、数学はどんなメガネなんだろうと思ってた。
なるほど(分野にもよるだろうけど)「数学は自然科学のメガネを作ろうとする学問」と考えると、少ししっくりしたような気がした。