内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

『ポリタスTV』 出演

 津田大介さんが運営されている、『ポリタスTV』に出演しました。新型コロナウィルス対策をする専門家について。そして朝日新聞に書いた「あすを探る」をより丁寧に説明させてただく機会を得ました。

 津田さん、平日は毎日このポリタスTVを運営されているのですね…と感嘆(私は一日でも大変でした)。

  アーカイブがありますので、こちらからご覧になれます。


コロナ対策専門家会議が廃止|AI&スパコンを活用する政府の新専門家会議が発足したことについて、サイエンスコミュニケーターの内田麻理香さん @kasoken に伺います。【ポリタスTV】(7/1) #ポ

朝日新聞「論壇委員が選ぶ今月の3点」6月

 朝日新聞の論壇時評の欄で、「論壇委員が選ぶ今月の3点」が掲載されました。

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森田朗「政治と科学、責任を取るのはどちらか?」(JBpress 5月25日)

<評>科学者が予測を誤ったとして一審で禁錮6年の実刑判決(二審は無罪)を受けたイタリア中部ラクイラ地震を例に、科学と政治の関係を考える。森田は、双方の役割分担と決定過程の公開を徹底する必要があるとする。

政治と科学、責任を取るのはどちらか? NFIからの提言(3)政治家と科学者の役割と責任を再考する(1/2) | JBpress(Japan Business Press)

 この森田論考では、後出しジャンケン的な批判は卑怯」と指摘します。 また、科学の判断に「政治的な配慮が入り込む余地を少なくする」ための提言もしています。

 科学と政治の役割/責任については 尾内隆之・調麻佐志「新型コロナウイルス感染症対策における科学と政治」岩波『科学』6月号 でも鮮やかに分析され、まとめられています。緊急事態宣言までの時系列表も詳細でありがたい。

 

苅谷剛彦「『自粛の氾濫』は社会に何を残すか」(Voice 7月号)

VOICE(ヴォイス) 2020年 7月号

VOICE(ヴォイス) 2020年 7月号

  • 発売日: 2020/06/10
  • メディア: 雑誌
 

ラニア・アブゼイド、アンドレア・ブルース「政治の壁に挑む女性たち」(ナショナルジオグラフィック日本版 6月号)

 

朝日新聞『あすを探る』「「暗黙知欠く専門家に注意」」寄稿

 朝日新聞の論壇時評欄の、「あすを探る」コーナーを担当し、寄稿しました。

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 ハリー・コリンズとロバート・エヴァンズの研究を補助線として、誰を専門家として信頼できるか検討してみました。大事なのは「暗黙知」です。具体例として話題の「K値」を取り上げました。

 本文で「感染症の専門家以外の見解だからという理由で、すべてを退けるべきだとは思わない。異分野間の適切な共創は、建設的な知見を生む」と書いたとおり、異分野の人は口を出すな、という意味ではありません。「越境」する際には自覚が必要、と考えます。

 

専門知を再考する

専門知を再考する

 

 

  いまの時代、科学的知識の社会学を専門として研究を続けてきた、ハリー・コリンズとロバート・エヴァンズの研究は、世の中を見通すために役に立つと思います。邦訳されている書籍としては、上の二つがあります。

『週刊新潮』6月25日号 インタビュー掲載

 週刊新潮』6/25号でコメントしています。専門家の行うリスク評価/政治の行うリスク管理を区別すべきという内容です。

「吉村知事」が「8割おじさんに騙された」 西浦モデルを阪大教授が全否定した「K値」とは(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース

 ただし、この記事の題に表れているような「「吉村知事」が「8割おじさんに騙された」」という、西浦博先生を批判し、K値を称揚する方向性には、まったく同意しません。

 感染症の専門家でない研究者から出された「K値」を専門知として扱うことの不適切さ、危うさについての原稿は書きましたので、来週木曜日の朝日新聞の論壇時評欄「あすを探る」に掲載される予定です。

(掲載されました)

 

kasoken.hatenablog.jp

 

 ただ、この『週刊新潮』6月25日号にあった吉村知事のコメント「(西浦モデルではない)ほかの指標はないか探し、出てきたのがK 値でした。」があったのは、非常に貴重な資料になるかと思います。科学的に信頼できるという理由ではなく、政治側から都合のよい指標を選ぼうとしたことが伺えます。

 

集英社『すばる』寄稿「科学不信と、その処方箋」

 『すばる』7月号に寄稿した論考が掲載されました。

特集は「気候変動と向き合う」。私は、「科学不信と、その処方箋」と題した文を寄稿しています。

 気候変動については科学者の見解は一致していますが、それでも地球温暖化懐疑論をとなえる者は出てきます。不信を持たれたり、嫌われたりしがちな科学について検討し、その処方箋を探ってみました。

 

すばる2020年7月号

すばる2020年7月号

  • 発売日: 2020/06/05
  • メディア: 雑誌
 

 

『朝日新聞』「(#論壇)CF、実は多い「内輪の支援」」コメント寄稿

 朝日新聞の論壇委員が注目する論考を1本選んで、記者が深掘りするコーナー。今年度から、「論×論×論」にかわり、「#論壇」というコーナーが誕生しました。

 今月は私もコメントを書いています。

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 注目したのは『都市問題』5月号特集1「クラウドファンディングの現在」です。

出版物のご案内 - 月刊誌『都市問題』 | 公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所(旧財団法人東京市政調査会)

 「ミニシアター・エイド」のクラウドファンディングで3億円が集まったり、食品ロスを救おうと「買って応援」する動きが生まれるなど、市民間の連帯のうねりが高まっていることに注目したいです。

 でも、政府が「クラウドファンディングに期待」するのは筋違いでしょう。政府がすべきは、市民から金銭を吸い上げるのではなく、援助することだと考えます。

休業補償等は政府がすべきだ、という前提は忘れてはならない。しかしその一方で、CFだけでなく、フードロスで困窮する生産者を救う「買って応援」の動きなど、市民の連帯のうねりが生じていることも確かだ。コロナ禍で、さまざまな業種がその形態の変更を迫られている。その状況下で、今後、CFがどのような役割を果たしていくのか着目したい。