本日の毎日新聞に書評を寄稿しています。
これは米国の状況を分析した書ですが、政治によって真実が軽視される状況は今の日本も同じでしょう。必読です。
真実が政治に屈する時代に、私たちはどう立ち向かえば良いのだろう。トランプは新型コロナについても、科学的に誤った情報を広め続けている。これは対岸の火事ではない。真実から目を背けることは、自らと大事な人の身の危険に繋がるのだ。
マッキンタイアは、ポストトゥルース現象が生まれた要因として、ポストモダン思想を挙げますが、他の精緻な議論に比べると粗いような…。 このあたりは、監訳者の大橋完太郎さんが「附論」で丁寧に検討されていて、読み応えがあります。
科学は、エビデンスに応じて従前の仮説を変え続ける学問体系である。認知バイアスを持つ私たちは、信じたいものを信じているときに、懐疑的な態度をとることは難しい。しかし、その科学の持つ強さを取り戻すことが、嘘がまかり通る時代にこそ求められると信じたい。