日本経済新聞に書評を寄稿しています。
対象本はこちらです。
「いわゆる理系女性の自伝本ね……」というノリで読み始めたのですが(すみません!)、これが良い方向に予想を裏切られまして。著者のキャラクターも魅力的、文章も巧み。『赤毛のアン』のような物語を連想させる作品でした。著者が専門とする植物に関する挿話も楽しい。新たなジャンルの物語を開拓したのでは?
『赤毛のアン』にせよ、『若草物語』にせよ、当時としては珍しい"職業婦人"(あえてこの言葉を使ってみる)が、自らの体験をもとに作られた小説ですよね。著者、ヤーレンのチャーミングで、ある意味めんどうくさそうなキャラが本の中で七転八倒する様子は、読者として応援したくなります。そして、さわやかな読後感。
全米でベストセラーになり、数々の賞を受賞したのも納得の作品です。この手の「面白いから読んで!」的な作品を書評したり紹介するのって難しいですね……。自分の力のなさを、つくづく感じました。とにかく、全力でおすすめです。