内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

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毎日新聞「今週の本棚」『フンボルトの冒険』寄稿 

 本日の毎日新聞に大書評(いつもより文字数が多い)を寄稿しています。

今週の本棚:内田麻理香・評 『フンボルトの冒険-自然という<生命の網>の発明』=アンドレア・ウルフ著 - 毎日新聞

https://www.instagram.com/p/BQZQ_fnAyPq/

 

 対象本はこちらです。

フンボルトの冒険―自然という<生命の網>の発明

フンボルトの冒険―自然という<生命の網>の発明

 

 このフンボルト、知の英雄であり数多くの人たちに影響を及ぼしているにもかかわらず、なぜか知名度が低い。お兄さんのヴィルヘルム(言語学者で、かつ行政にも関わった。フンボルトの名を冠した大学が今も残っている)と一緒くたにされることも、あるかもしれません。

 この本は彼の魅力を余すところなく伝えています。わくわくする冒険譚なので、ボリュームのある本ながら、飽きることがありません。王立協会科学図書賞受賞など受賞しているのも納得です。

 今回の書評では、フンボルトの自然科学的な貢献に焦点を絞ったので、ゲーテダーウィンの話しかできませんでしたが、もし、同じ文字数で別の書評を書くのであれば、彼の政治的な影響についても書きたかったなあと(米の第3代大統領トーマス・ジェファーソンとのや、南米の革命などなど。あと、彼の青年期にフランス革命やらナポレオンの台頭などが関わっている)。

 箔押し、カラー口絵、図版たくさん、500p超えの本なのに、3,000円強のお値段とは恐ろしくリーズナブルです。原注と参考文献はウェブ上にありますが、これを書籍のほうに入れるとこのお値段では抑えることは無理だったなあと。pdfでダウンロードできます。それでも、贅沢な一冊であることは間違いありません。