内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

科学技術社会論・柿内賢信記念賞(実践賞)受賞

 2016年度の科学技術社会論・柿内賢信記念賞(実践賞)を受賞しました。この柿内賢信記念賞は、「科学・技術と社会の問題」に関する研究・実践的活動を行う個人に贈られるもので、科学技術社会論学会が毎年選考・表彰するものです。

 2016年度の受賞者は、

特別賞:
村上 陽一郎 氏(東京大学国際基督教大学名誉教授)
−日本の科学技術社会論分野の成立に果たした先駆的かつ総合的な貢献に対して−

奨励賞:
Vincencio Eliana 氏(東京工業大学大学院社会理工学研究科)
「1981年の新自由主義的改革がチリの大学における天文学の発展に与えた影響の研究」

実践賞:内田 麻理香 氏
「科学技術の民主化に向けた科学技術コミュニケーションの研究」

公益財団法人 倶進会 - 表彰

の3名です。私は研究奨励費として35万円頂戴しました。ありがとうございます。

STS_20161105_173025

 左から、科学技術社会論学会会長・藤垣裕子氏、選考委員会委員長・夏目賢一氏、Vincencio Eliana 氏、内田、倶進会理事長・勝見允行氏です。今年新設された特別賞を受賞された村上陽一郎氏は残念ながら急なご都合でご出席できず、記念講演も拝聴できなかったのは残念です。

 さて、私の「科学技術の民主化に向けた科学コミュニケーションの研究」とは何ぞやということですが。民主化という言葉は、本来は民主主義という政治形態が広がることを意味しますが、現在は「文化の民主化」など政治以外の文脈でも、「多くの人びとがアクセス可能になること」を指す意味でも使われます。科学技術と社会のあいだで生じる諸問題には多種多様なアクターが参画することが望ましく、それが実現すれば、科学技術社会論に関わる諸問題のより良い問題解決に繋がるという目的です。

 そのために、過去の実践および研究を継続して、科学技術に関心が高くない人びとにアプローチして、科学技術の民主化を目指すために、具体的には

(ⅰ) 過去に科学技術コミュニケーションと見なされなかった活動を中心に、新たなコミュニティ作りをした科学技術コミュニケーション活動の探索、及びその実践者へのインタビューの実施
(ⅱ) 科学技術以外の分野(教育や芸術など)で、公衆の参画を促す活動・政策に関する研究者を講師に招き、科学技術社会論の研究者を交えた研究会の開催
(ⅲ) 応募者の科学技術コミュニケーション活動の実践と、上記から得られた成果との相互のフィードバック 

 を計画しています。

 今回の受賞は、指導教員の石崎雅人教授をはじめ、科学技術社会論学会での過去のセッションで共同発表して下さった皆様、学会の内外で指導・アドバイスを下さった皆様のおかげです。そして賞を下さった倶進会に心よりお礼申し上げます。これを励みに、そして改めて気を引き締めて上記の研究を進めていきます。

 今後ともどうぞよろしくお願いします。