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内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

毎日新聞「今週の本棚」『こども服の歴史』書評寄稿

 本日の毎日新聞に書評を寄稿しています。大書評(通常より文字数が多い)です。

今週の本棚:内田麻理香・評 『こども服の歴史』=エリザベス・ユウィング著「大人服をも自由にしたこどもと衣服」

 対象本はこちら。

こども服の歴史

こども服の歴史

 

  スワドリングという布でぐるぐる巻きにされていたこどもが、解放されてファッションリーダーにまでの、英国を中心としたファッション史を丁寧に追った書。最初はテーマが面白そう、表紙も挿絵も可愛い! と気軽に手に取った本でしたが、「こども服」という切り口で見ると、知っていたはずの歴史も違った様子で浮かび上がってきます。

 個々のエピソードも興味深いのですが、歴史との絡みがなるほど、と唸らされるので2,000字にはまとめきれなかったようにも思えます。専門用語が多いですが、巻末には解説がありますし(それでもわからないときは画像検索! 楽しいです)、ぜひ本の方もご覧下さい。

 紙面には図版も掲載されています。

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 左はフランス革命後のこども服の「革命」で男の子の長いズボン、女の子の胸下切り替えのワンピースが登場。これが大人の服の解放にも繋がります。フランス革命前に、まずジョン・ロックの思想を受け継いだ、ルソーの『エミール』で広まった「自然に帰れ」の思想によって、労働者階級の服装がこども服に取り入れられたと。そういえば、マリー・アントワネットもプチ・トリアノンでは「田舎風」を導入していましたね。

 右はセーラー服。こども服の黄金時代は、産業革命後に勃興した中産階級が「家具のようにこどもを飾り立てる」ことが始まったため、華美な方向に元通り。その親の見栄の象徴が英国海軍の制服であったセーラー服。当時の英国の帝国主義の威信も示すこともできますから。これは中産階級だけでなく、全階級に広まったみたい。でも、実用的でもあり、こどもにも気に入られたため、こどもに止まらず現在にも続いている希有な例。

 そんなセーラー服に対して『小公子』のセディの服も大流行したけど(ベルベットのスーツ。親に巻き毛にされた気の毒な子もいたとか)は、こどもには不評で廃れてしまったとか。

 童話などの登場人物がこども服のファッションリーダーになった例として『不思議のアリス』が挙げられていて、日本発のロリータファッションもそういえばアリスがお手本だったなあと考えると興味深い。彼女たちも「着たい服を堂々と着る」代表者だと思って。書評にも書いたのですが、確かにTPOは必要かもしれないけど、もっと着たい服を着る、という自由をこどもだけでなく大人も持っても良いんじゃないかと思わせてくれます。

 そんなわけで、この書評を書いたすぐ後に乗った飛行機で、「アリス・イン・ワンダーランド」観ました。

  アリスは、しがらみを突破する自由な少女(女性)の象徴でもあるから、今でも人気なんでしょうね。