本日付の毎日新聞の書評欄に、書評が掲載されています。
対象本はこちら。
本文で「物足りなさを感じた」というのは、褒め言葉でして、入門書は物足りなくて人の知的好奇心をくすぐるのが役目だと思っています。とはいえ、本書は複雑極まる医学の歴史に筋を通してまとめた構成力が素晴らしい。
翻訳は id:akihitosuzuki 鈴木晃仁氏と鈴木実佳氏。本文を読んで「あれ?」と思うところがあったので(2カ所だけですが)、原文をKindle版で購入して確認してみたのですが、誠実かつ明快な翻訳でした(というか原文も良いですが、翻訳のほうが、よりわかりやすい。単に私が読めていなかっただけ)。本書は、訳者のおふたりにも恵まれて、良書になっているのだと思わされます。
この本は、丸善出版の「サイエンスパレット」シリーズに含まれます。新書だと侮ることなかれ。オックスフォード大学出版局の"Very Short Introductions"シリーズを翻訳し、さらに日本版の書き下ろしを加えた理系新書シリーズです。もとのシリーズが40カ国以上で翻訳出版されているのだから定評がある。書評していませんが、こちらもおすすめ。日本発。
そして、同じく日本発としては、
こちらを過去に書評しています。
今回ご紹介した『医学の歴史』を含め、「さっと読めるようで、実は深い」入門書が多いので、ぜひ。