内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

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毎日新聞書評:今週の本棚『ガリレオ裁判』

 毎日新聞に書評掲載。「それでも地球は動いている」…などの言葉が残され、宗教と戦った科学のヒーローとして語り継がれるガリレオ・ガリレイ

 今世紀に入って、その宗教裁判の記録から、概要が明確になってきました。推理小説のような一冊です。

今週の本棚 | 内田麻理香・評 『ガリレオ裁判−400年後の真実』=田中一郎・著 - 毎日新聞

 

ガリレオ裁判――400年後の真実 (岩波新書)

ガリレオ裁判――400年後の真実 (岩波新書)

 

  「宗教」対「科学」の対決ではなかったことは確かであるようです。ガリレオは信仰心の強い人物で、破門はされたくない。『天文対話』では地動説を論駁する章を付け足しても良い、とまで言ったとのこと。むしろ、ガリレオと親しかった教皇たちが、この裁判を穏便に済ませようと働きかけていたと言えるでしょう。キリスト教は科学の歩みを止めるつもりはなかったことが窺えます。
 

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 この写真は、ガリレオが改良して、天体を見た望遠鏡。本書でガリレオの英雄らしさは少し失われるかもしれませんが、それでも望遠鏡を空に向ける、という発想自体に改めて感心します。