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内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

毎日新聞「今週の本棚」『フランシス・クリックー遺伝暗号を発見した男』

 毎日新聞に書評掲載です。

今週の本棚:内田麻理香・評 『フランシス・クリック−−遺伝暗号を発見した男』=マット・リドレー著

 対象本はこちら。今回、初めての大書評(2,000字。普段の書評は1,400字)で苦労しました。バランスとるの、難しい。

フランシス・クリック: 遺伝暗号を発見した男

フランシス・クリック: 遺伝暗号を発見した男

 

  お騒がせのワトソンの方は有名ですが、いまいち目立たない存在のクリック。その自伝を赤の女王 性とヒトの進化 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)などで知られる、名サイエンスライター、マット・リドレーが描きます。

 面白くないわけがない。最近出た

二重螺旋 完全版

二重螺旋 完全版

  • 作者: ジェームズ・D.ワトソン,アレクサンダーガン,ジャンウィトコウスキー,James D. Watson,Jan Witkowski,Alexander Gann,青木薫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/05/29
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログ (1件) を見る
 

と、 もはや古典のこちら

二重らせん (ブルーバックス)

二重らせん (ブルーバックス)

 

 も参照しながら読みました。
 『二重らせん』出版に至るトラブル(クリックらが反対した)というのは事実らしい。二重らせん発見に至るプロセスも、まあ人間くさいというか、どたばたしていてきれいなものではありませんが、この出版に関するいざこざもみっともないですね。まあ、登場人物がクセがありすぎる。

 ロザリンド・フランクリンは、その後、クリック夫妻と仲の良い交流があったらしい。彼女の功績をどう評価するかは、難しいでしょう。いろいろな文献を照らし合わせないといけないでしょう。

彼は生涯にわたり「一研究者」であり続けたが、新しい分野に取り組むときは、真摯に自分自身を再教育した。長期間にわたり、一つの問題を解こうとする粘り強さ。他人から見ると「最高につまらない論文」まで読み込んでいたという。本書全体を通じて、クリックは口が悪く、尊大で嫌みな人物という面も うかがい知れるが、科学に対しては終生、謙虚であり続けた。この学ぶことへの情熱も、彼の天才性を形作っていたのだろう。

 クリックの「ただものでなさ」は科学への謙虚な姿勢から作られたことがわかる書です。