内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

雑誌"LEE"8月号「家事のお悩みは科学で解決!チョッパーマンとまりか先生の『暮らしの不思議なぜなにBOOK』」別冊特集

LEE (リー) 2014年 08月号 [雑誌]

LEE (リー) 2014年 08月号 [雑誌]

 8月号のLEEに、別冊でチョッパーマンとコラボで24pの別冊を組んでいただきました。表紙はこんな感じ。

 LEE編集部さんに、この別冊の特設ページまで作っていただきました。ありがとうございます。
今月のLEE:家事のお悩みは科学で解決! チョッパーマンとまりか先生の「暮らしの不思議なぜなにBOOK」|LEE(リー)
 ぜひ、こちらのページもご覧下さいませ。

チョッパーマンは、(ご存じの方も多いでしょうが)『ワンピース』のスピンアウト漫画。

チョッパーマン 1 (ジャンプコミックス)

チョッパーマン 1 (ジャンプコミックス)

 その武井宏文先生の絵で、書き下ろしマンガに登場させていただいたのは嬉しすぎます。

 今まで、女性向け雑誌や番組でいろいろお仕事させていただきましたが、いつも「お役立ち」「科学で楽になる」系が多かったのですが、この別冊はなかなかガチでして。お役立ち感系ネタもありますが*1、「なぜなにBOOK」と書かれているように、科学の「なぜ?」という楽しみが両立している。むしろそれが前面に出ている気が。読者の皆さまの疑問に応えるコーナーがいっぱい用意されています。「お役立ち」だけでなく、「なぜ?」に踏み込んだ企画を作って下さった編集者さんに感謝です。ガチなので、化学物質の名前とか遠慮なく出てきますが、日常生活からは離れていない内容になっています。編集者さん、ライターさんもたいへん勉強されて、頭の下がる想いです。

 この別冊を見て、こちらを思い出しました。教育哲学者、J. デューイが「常識的知識」と「科学的知識」を対比させているのですが*2、常識的知識は

常識の場合は、知識の必要性はもっぱら事物の「使用と享受(use and enjoyment)という直接的実際的感心によるものであり、したがって常識知のないようもそのような「使用と享受」という実際的配慮(practical considerations)によって規定されるものである

(米盛 2007*3

 科学的知識は「使用と享受」を必要としないが、常識的知識(常識知)*4は、「使用と享受」を必要とする。

 だから、常識的知識を欲するけど、科学者でない人たちには、「使用(use)」=「お役立ち」と「享受(enjoyment)」=「科学のなぜ?」を通して、科学に親しんでいただく導入を作ることが必要なのかな? と改めて感じました。私はなるべくenjoymentのほうを伝えたい、と思っているのですが、やはりuseと組み合わせることが有効かも、と。

 というわけで、個人的にもかなり勉強になったお仕事でした。

*1:「家事のお悩みは科学で解決!」のように。

*2:行動の論理学―探求の理論

*3:アブダクション―仮説と発見の論理

*4:「直接知」(acqaintance knowledge)とか、「実践知」(practical knowlege)とか、「質的思考」(qualitative thought)の言葉も使っている。