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内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

3.11後の私がなぜ「楽しい」サイエンスコミュニケーションを続けたか?

つれづれ サイエンスコミュニケーション

 NHK朝ドラの第134回の『あまちゃん』、女優鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が自粛ムードのときに「こんなご時世に…」「東北の人に対し、仕事をするのが申し訳ない」と。それを天野春子(小泉今日子)が「東北人が働けって言ってんですよ!」と返す場面が(も)印象的でした。キョンキョンのナレーションで「娯楽に関わる人間は悩んだ」というのも。
 正確には以下のセリフ。

鈴鹿ひろ美「もちろんでたい、ありがたいと思う。だけど…東北の方々に申し訳なくて…」
天野春子「東北の人間が働けと言っているんです!」

ナレーション(天野春子)
「娯楽に関わる多くの人が自分自身に問いかけました。ドラマや映画や歌がなくても、人は十分に生きていける。でも、水や食べ物、電気や燃料がないと人は困る。生きられない。世の中がすっかり変わってしまった。」

*1

 私も(当時は東京にいた)、エンタメ的なというか娯楽の枠内に入るであろう自分の仕事を目の前にして悩みまくった。で、東京・中日新聞の連載の担当者に「こんなのんきな『おうちの科学』なんて書いていいんでしょうか?内容変えた方がいいですか?」と相談したら、即「そのままでお願いします」とお返事がきた。その後もあれこれ悩んだが、私の「できること」はこれだと考え、その路線で今もやってる。

 サイエンスコミュニケーションに関わる人は苦悩したのではないか? 実際、SNSからの批判も多かったし、「楽しいサイエンスコミュニケーション」は揶揄され、役立たずと言われ、団体でも個人でも方針転換した人は多い。
 サイエンスコミュニケーションが震災などの災害時・復興時に役立つことがある。実際、大事だ。今まで科学啓蒙系に偏っていたのもれっきとした事実だ。
 でも一方で今やバカにされる「楽しいサイエンスコミュニケーション」が人の心を和らげることもある。いくらコケにされても、ほとんど関わる人がいなくなろうとも、この路線で続けようと思い、次々と離れていく同分野の人を横目に見つつ、続けている。しんどいけどね。

 ただ、「あまちゃん」152回
「おらにでぎること」
「自分にできること」
の台詞はやはり素晴らしいなと思う。

 引用したすべては、エンタメに携わってきた宮藤官九郎氏だからこその、肝の据わった台詞だろう。

*1:これは録画による私の聞き書きです。