内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

美と科学

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 この手のものを見ると「科学と美」ってなんだろう?と思ってしまう。元は化学出身なのに、これを見ると(結晶する過程以外)気持ち悪いと思ってしまうのが本音です。イキモノっぽいのが苦手なだけに、鳥肌が立ってしまう。これ「美しい」のでしょうか?

 サイエンス×アートってよくサイエンスコミュニケーションの文脈で使われているけど、どうだろう? と。ただ、PCSTの学会(@フィレンツェ)で聞いた岡田小枝子さんが発表した作品群は素敵だと思った。これなら買いたいと。で、後日お伺いしたところ「そのままの写真は使わない、プロが切り出している、創作している」と聞き、納得。そのままじゃないから素敵なんだ。

Life is Small プロジェクト
を推進している永山國昭さんからは「このような生き物を拡大することに嫌悪感を抱く人もいると思って、こんなの(変換アプリ)も用意している(意訳)」と見せていただいたこともある。まさに私がそのカテゴリに入る人物なので、そのように変換してもらえるとありがたい。さすが永山先生、世の中の人のことをわかっていらっしゃる。

 イキモノ系に限らず、サイエンス関係の写真をどーんとそのまま見せて「美しいでしょ?」は成立しないと思っている。イラストレーションとして見るのは格好いいと思うのですが。であれば私は単純にすごい! と思える。でも、それが芸術ですよとアピールし、科学が好きではない人にも通じると思っている傲慢さがね……。それこそ自己満足ではないかと。アートとイラストレーションの違いもよくわかっていない私がいうのもどうかと思うのですが。

 「科学」という大看板に寄りかかって、アウトプットの質が低くても自己満足しているのは、人の心を動かさないと思うのです。もちろん、これはブーメランで、「科学」に寄りかかって物書きとしてのアウトプットが低い自分に対する戒めでもあります。

 ただ「美しい」「面白い」って思う感覚、個人差ありますからね。難しい。「気持ち悪い」と「美」の境界線も、曖昧だと思うし、人によって色々だろう。