内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

東北大教養教育特別セミナー「学問にとって『役に立つ』とはいかなることか」講演

第7回教養教育特別セミナーのお知らせ – 東北大学教養教育院

 東北大学の新入生向け特別セミナー「学問にとって『役に立つ』とはいかなることか」で講演しました。

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 私の発表のお題目は「複数の『メガネ』を持つために」。

 個人的にも、大学教育でさえ「役に立つ」を求められることには疑問を抱いています。即効的に役に立つけど、将来(数十年先という短いスパンでも)を見据えたらどうなのか? と。民間で学ぶ場ができて、それがビジネスとなっている現状は望ましいとは思います。でも、大学、特に国立大学の教育の場でも即効性のあるお役立ちを求められる状況は回避したいと思うひとりです。

 こちらは、東北大の新入生向けのセミナーです。1000名集まったとか。最後のパネルディスカッションでも学生さんから質問が寄せられましたが、それが軍事研究について、などで。大学1年、しかも4月の時点でこの質問が出るという優秀さに驚きました。

『オレンジページ』「暮らしのトリビア」監修

4月17日号の「オレンジページ」の「暮らしのトリビア劇場」の監修をしています。

オレンジページ 2017年 4/17 号 [雑誌]
 

今号は「シルバーアクセサリーの黒ずみを落とす技」。

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 大富豪のお嬢様が、イケメン執事に教わりながら花嫁修業をする設定のこのコーナー、相変わらず面白いです。ウェブでも掲載されています。

www.orangepage.net

 この方法、シルバー製品が見違えるほどきれいになりますし、簡単なのでぜひお試し下さい。

 

毎日新聞「今週の本棚」『ドラッグと分断社会アメリカ』書評寄稿

 本日の毎日新聞に『ドラッグと分断社会アメリカ』の書評を寄稿しています。

内田麻理香・評 『ドラッグと分断社会アメリカ-神経科学者が語る「依存」の構造』=カール・ハート著

ドラッグと分断社会アメリカ 神経科学者が語る「依存」の構造

ドラッグと分断社会アメリカ 神経科学者が語る「依存」の構造

 

「自伝」と「科学啓蒙書」が織物になっているような不思議な本、だけどそれだけに面白い。

 著者のカール・ハート、黒人貧困層出身でコロンビア大の教授になった人で、彼の人生がドラマチックなだけに、単なるサクセスストーリーのようにも見えてしまうのですが、それは著者の本意ではないでしょう。生まれ育った環境から外部に接することで、黒人としてのアイデンティティを確立していったからこそ、独自の視点が生まれ、この本に限らず彼の生み出す研究も含め独自性が生まれていると思われます。著者がいうように「私の物語」と「科学」の二つがあることの強み。

 世の中に流布する薬物や依存症の「神話」、誤ったものが多いんですね。これは米国の話ですが、日本も一緒と思われます。依存症者は正気を失って正常な判断ができない、一度薬物を使ったら依存症者になる、などなど。そもそも酒とタバコが合法という科学的根拠もないらしい。

 科学の話で面白いものが多かったのですが、文字数の関係で泣く泣く削除。ラットパーク(ラットにとって快適な環境)のラットと、孤立したラットを比較した薬物投与の実験とか。ラットパークにいるラットの方が、薬物摂取に興味を示さなくなるというのですが、多くの薬物依存の実験は「孤立したラット」という条件のもと行われていると。また、著者のコカイン常用者(ヒト)を対象にした研究もハイライトだと思うので、本書をぜひ。

日経ビジネス『Priv.』寄稿

日経ビジネが発行する"Priv.(プライブ)"に寄稿しました。

https://www.instagram.com/p/BRiE73RhaWU/

 

「『今』を感じる5つのコラム」内で、「科学のメガネが新しい世界を見せる」と題したコラムを寄稿しています。科学的思考を養う本を、というお題でしたので、こちらの二冊(正確には二つのシリーズ)を。

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

 

 

寺田寅彦 科学者とあたま (STANDARD BOOKS)

寺田寅彦 科学者とあたま (STANDARD BOOKS)

 

 今号の特集は銀座。素敵な冊子です。ご購読の方がいらっしゃいましたたら、目を通してください。

web中公新書「私の好きな中公新書」寄稿

 web中公新書の「私の好きな中公新書」で、3冊紹介しています。

www.chuko.co.jp

  過去の中公新書からお気に入りの3冊を紹介するというコーナーです。私が選んだのはこちらの3冊になります。

人はいかに学ぶか―日常的認知の世界 (中公新書)

人はいかに学ぶか―日常的認知の世界 (中公新書)

 

  中学・高校の校長に教えてもらった書。何度も読み直していて、長いお付き合いになります。

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

 

  言わずと知れた古典中の古典。「理科系の」とありますが、文理関係なく参考になる教科書でしょう。

J-46 人間にとって科学とはなにか (中公クラシックス)

J-46 人間にとって科学とはなにか (中公クラシックス)

 

  湯川秀樹梅棹忠夫という豪華対談。本文にも書きましたが、科学との適切な距離感を示唆してくれているように思います。最初は硬い二人ですが、次第にざっくばらんになっていく様子も面白い。

 中公新書から3冊選んでみると、自分の中で「古典」の殿堂入りをしている本になりました。「お気に入りの3冊」を選んでみると、自分の原点が再確認できるかもしれません。

 

毎日新聞「今週の本棚」『フンボルトの冒険』寄稿 

 本日の毎日新聞に大書評(いつもより文字数が多い)を寄稿しています。

今週の本棚:内田麻理香・評 『フンボルトの冒険-自然という<生命の網>の発明』=アンドレア・ウルフ著 - 毎日新聞

https://www.instagram.com/p/BQZQ_fnAyPq/

 

 対象本はこちらです。

フンボルトの冒険―自然という<生命の網>の発明

フンボルトの冒険―自然という<生命の網>の発明

 

 このフンボルト、知の英雄であり数多くの人たちに影響を及ぼしているにもかかわらず、なぜか知名度が低い。お兄さんのヴィルヘルム(言語学者で、かつ行政にも関わった。フンボルトの名を冠した大学が今も残っている)と一緒くたにされることも、あるかもしれません。

 この本は彼の魅力を余すところなく伝えています。わくわくする冒険譚なので、ボリュームのある本ながら、飽きることがありません。王立協会科学図書賞受賞など受賞しているのも納得です。

 今回の書評では、フンボルトの自然科学的な貢献に焦点を絞ったので、ゲーテダーウィンの話しかできませんでしたが、もし、同じ文字数で別の書評を書くのであれば、彼の政治的な影響についても書きたかったなあと(米の第3代大統領トーマス・ジェファーソンとのや、南米の革命などなど。あと、彼の青年期にフランス革命やらナポレオンの台頭などが関わっている)。

 箔押し、カラー口絵、図版たくさん、500p超えの本なのに、3,000円強のお値段とは恐ろしくリーズナブルです。原注と参考文献はウェブ上にありますが、これを書籍のほうに入れるとこのお値段では抑えることは無理だったなあと。pdfでダウンロードできます。それでも、贅沢な一冊であることは間違いありません。

『くらしとからだ』no.91「有名人とっておき健康法」インタビュー掲載

 テーミスが発行する季刊誌『くらしとからだ』No. 91の「有名人とっておき健康法」にインタビュー記事が掲載されています。

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 健康の話をしているつもりが、自分の引きこもり体質、運動不足を暴露したものになってしまいました。もっと、身体のメンテナンスに気を遣わねば。

 この『くらしとからだ』は全国の薬局等で配布されているようです。もし、お手にとる機会がありましたらご笑覧下さいませ。

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