内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

信濃毎日新聞『政治に口出しする女はお嫌いですか?』書評寄稿

 信濃毎日新聞に、工藤庸子著『政治に口出しする女はお嫌いですか?:スタール夫人の言論 vs. ナポレオンの独裁』勁草書房、の書評を寄稿しています。

「共に考える伴侶」たちと語りながら、その知性と言論を磨き上げていったことに注目したい。今の社会に求められているのは、公共圏と親密圏を行き交う「ソシエテ」を大事に扱うことだろう。

 公共圏と親密圏の間に位置する「サロン」を通じて、ナポレオンの独裁に対抗したスタール夫人。あの時代にこんな格好いい女性がいたのか、と驚きです。

 このスタール夫人、「大河ドラマで見たい」と思うくらいスケールが大きく魅力的な女性。もしかして?思いながら池田理代子の『皇帝ナポレオン』を読み直したら、1巻からスタール夫人が出ていました。むかーし読んだ時には気づきませんでした。

皇帝ナポレオン(1)

皇帝ナポレオン(1)

 

 米国建国の父の一人、ベンジャミン・フランクリンの逸話も面白い。英国在住歴が長いにもかかわらず、あえて米国風(当時のフランスから見れば、"田舎"風)のキャラで、パリの貴婦人たちの注目を浴びる。で、サロンの主人に求愛してフラれるという「儀式」をやってのけ、さらに人気を得る。同時に在仏の外交官として大活躍したという。フランクリン、多様な業績を残しているが処世術にも長けていたか、と。当時のパリのサロンは、ラブレターもサロン内で読み上げられて公開されたとのこと。だから、「フラれる」プロセスを粋に演出することがウケることも織り込み済みだったことか、フランクリンは。

毎日新聞「今週の本棚」『ニュートンに消された男』書評寄稿

mainichi.jp 毎日新聞に中島秀人著『ニュートンに消された男:ロバート・フック』(角川ソフィア文庫)の書評を寄稿しています。

ニュートンに消された男 ロバート・フック (角川ソフィア文庫)

ニュートンに消された男 ロバート・フック (角川ソフィア文庫)

 

  こちらは、大佛次郎賞を受賞した1996年発刊の本を、加筆して文庫版にしたものです。20年以上経っても、ロバート・フックの伝記としては決定版と言えるのではないでしょうか。

ロバート・フック ニュートンに消された男 (朝日選書)

ロバート・フック ニュートンに消された男 (朝日選書)

 

  こちらの本は、拙著『恋する天才科学者』(および、文庫本の『面白すぎる天才科学者たち』)で参考文献にさせていただきました。 

 以前読んだ時はニュートンに比べて異様なまでに無名なフックに同情しましたが、今回読み直すと「さすがに新人のニュートンをいじめすぎだ……」と、フックに対して呆れてしまいました。そこまでされたらニュートンも恨むでしょう、と。

共同通信「読んでナルホド」書評寄稿

 共同通信が配信する書評コーナー、「読んでナルホド」に書評を寄稿しています。

老いと記憶-加齢で得るもの、失うもの (中公新書)

老いと記憶-加齢で得るもの、失うもの (中公新書)

 

 

認知症の人の心の中はどうなっているのか? (光文社新書)

認知症の人の心の中はどうなっているのか? (光文社新書)

 

 今回は『老いと記憶』増本康平、中公新書&『認知症の人の心の中はどうなっているのか?』佐藤眞一、光文社新書を取り上げました。 

毎日新聞:雑誌評を寄稿

毎日新聞に、光文社の『VERY』1月号の雑誌評を寄稿しています。興味深い特集が多かったのですが、今回取り上げたのは「『きちんと家のことをやるなら働いてもいいよ』と将来息子がバートナーに言わないために今からできること」です。

VERY(ヴェリィ) 2019年 01 月号 [雑誌]

VERY(ヴェリィ) 2019年 01 月号 [雑誌]

 

 『VERY』は所謂「セレブ妻」向けのイメージが強いのですが、以前から改憲特定秘密保護法を特集など、面白い特集が多いです。今号の書評コーナーも、伊藤 亜紗著『どもる体』医学書院、姫野カオルコ著『彼女は頭が悪いから』 文藝春秋、を取り上げるなど印象的。

 

東京大学『学内広報』寄稿

 東京大学の『学内広報』2018年11月の「インタープリターズ・バイブル」に「みんなの専門知」と題したエッセイを寄稿。アムステルダム国立美術館から科学コミュニケーションについて考えてみよう、という内容。よろしければご笑覧下さい。

東京大学 学内広報 NO.1516 | column

 こちらは、所属の東大・科学技術インタープリター養成プログラムの教員が担当している欄になります。全文はこちらからもご覧になれます。

science-interpreter.c.u-tokyo.ac.jp

毎日新聞「今週の本棚」「2018年この3冊」書評を寄稿

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 12月9日の毎日新聞の「今週の本棚」、毎年恒例の「2018年この3冊」欄で、鈴木貴之・著『100年後の世界』化学同人久保明教・著『機械カニバリズム講談社選書メチエ宇野重規・著『未来をはじめる』東京大学出版会の書評を寄稿しました。

 

100年後の世界―SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来 (DOJIN選書)

100年後の世界―SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来 (DOJIN選書)

 

 

機械カニバリズム 人間なきあとの人類学へ (講談社選書メチエ)

機械カニバリズム 人間なきあとの人類学へ (講談社選書メチエ)