信濃毎日新聞の「本紙書評委員10人が選んだ夏休みの一冊」で、桜井弘著『宮沢賢治の元素図鑑』化学同人の書評を寄稿しました。
元素研究で名高い桜井弘さんが、宮沢賢治にも通じていたという。桜井さんの解説から、賢治の文章から科学の要素を見出して「科学者としての賢治」を楽しむことができます。さらに、豊遥秋さんの鉱物写真で彩られているという。贅沢な一冊です。元素好きにも、賢治好きにもぜひ手に取っていただきたい本です。
毎日新聞の「今週の本棚」に『どもる体』の書評を寄稿しました。
吃音という難しい障害に焦点を当てた本ながら、深刻になりすぎない形で描き、誰もが「その感覚わかる……」と感じるであろう一冊。この本の「軽やかさ」「受け入れやすさ」は著者の文章の巧みさ、装丁、編集……が相まって出来上がったのでしょう。ベストセラーになって版を重ねているのも納得、おすすめです。
四谷大塚が発行する『Dream Navi』2018年8月号に、インタビュー記事が掲載されました。
「なぜ勉強するの?」の特集で、私は「新しいことを知ると自分が好きになれる」とのお話をしましたが……さて、これで答えになるのでしょうか。子供にとって「なぜ勉強するの?」という問いは切実で、そして大人からは答えにくい。「これ!」というわかりやすい答えはないのでしょう。他の方々のインタビュー記事、興味深いです。
鈴木貴之氏『100年後の世界』刊行記念のトークセッションで、お相手をつとめさせていただきました。
鈴木先生の所属は総合文化研究科。(案内文の肩書きは学部と大学院で違っていましたが)私と同じ職場の先生でもあります。科学哲学がご専門。
100年後の世界: SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来 (DOJIN選書)
SF映画を導入に、生殖技術、AI、ロボット、ビッグデータなど最先端技術について問いを投げかけていきます。SF映画に詳しい人も、詳しくない人も大丈夫。その映画を知っている人でも楽しめますし、知らない人でもその映画を観たくなるでしょう。
あと、「耳にしたことがあるけど、わからない」先端技術の概観について知りたい人にとってもお得です。生殖、遺伝子、バイオ、能力増強(エンハンスメント)、サイボーグ、不老長寿、人工知能、ロボット、情報、マインド・リーディング、「考える心の操作」、仮想現実と揃っています。
これらのテクノロジーを私たちが扱うために、「これ」といった答えはありません。著者の鈴木さんも提示していません。みんなで考えていく、答えが出ないけど考え続ける問題群なのです。というわけで、第15回分のアクティブラーニング型授業の題材にも最適です。教科書としてもおすすめです。
さて、イベント当日ですが、盛会のうちに終わりました。「素人さん……じゃ、ないですよね?」と思える参加者の皆様が多く、熱心でしかも鋭い質問がたくさん飛んできて、トークイベントとして盛り上がりました。私も楽しめました。
会場のBOOK LAB TOKYO、ここも良いですね。
最近、「書店」という場を通じたサイエンスコミュニケーションについてあれこれ考えを巡らせているのですが、改めて書店や図書館を通じたサイエンスコミュニケーションについてアプローチしたいと思った次第。