内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

毎日新聞・書評寄稿『明治の技術官僚:近代日本をつくった長州五傑』

 毎日新聞の「今週の本棚」欄に、書評を寄稿しています。

mainichi.jp

 幕末時、長州藩から密航してイギリスにわたった5人がいました。その5人のうち、伊藤博文井上馨がいた、というだけでなく、工部省、工部大学校(現在の東大工学部)をつくった山尾庸三、「鉄道の父」と呼ばれる井上勝、造幣部門で尽力した遠藤謹助がいたというように、たいへんな豪華メンバーであったと。そして、科学技術立国・日本の礎を築いたという、ドラマのようなほんとのお話です。

 実際、映画にもなっています。山尾庸三が主役で、演ずるのは松田龍平

長州ファイブ

長州ファイブ

 

  著者の柏原さんは、この長州五傑を「専門性」という補助線で描いているのが興味深いです。例えば、幕末であれば数ヶ月英国にいただけでも「専門性」を持つとして重宝される人材になる。でも、少し時間が経つだけで、求められる専門性が変遷していく。その明治維新時の動きのはやさが、今に生きる私たちにも妙に切実に感じられますし、登場する人物の葛藤も伺えます。

毎日新聞・雑誌評寄稿『ナショナルジオグラフィック』

 04/15の毎日新聞に、マガジン評を寄稿しています。「ナショナルジオグラフィック日本版」4月号、特集は「超監視時代」です。

ナショナル ジオグラフィック日本版 2018年4月号 [雑誌]

ナショナル ジオグラフィック日本版 2018年4月号 [雑誌]

 

 

放送大学・集中講義

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 14日(土)、15日(日)は、放送大学の面接授業(集中講義)で非常勤講師のお仕事でした。場所は東北大学の金属材料研究所内にある、宮城学習センター。「民主主義社会における科学」という科目で、私は科学コミュニケーションに関わる部分を担当しました。

 放送大学の面接授業は初めてです。多様な、そして学習意欲が旺盛な学生さんたちが集まる場で、私も楽しませていただきました。熱心な学生さんだと、私も勉強になりますし、刺激になります。このような場をつくる放送大学という存在は、もっともっと評価されるべき。

東京大学の特任講師になりました

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 4月1日付で、東京大学大学院 総合文化研究科 教養学部附属教養教育高度化機構 科学技術インタープリター部門の特任講師に着任しました。科学技術インタープリター養成部門は、東京大学の大学院生向けの副専攻プログラムで、科学と社会の架け橋となる人材を育成しています。このプログラム運営と教育を担当します。

 研究、教育、実践の形でサイエンスコミュニケーションに携わっていきます。これからも、よろしくお願いします。

信濃毎日新聞の書評委員になりました

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 毎日新聞に続き、今年度から、信濃毎日新聞の書評委員になりました。毎日新聞信濃毎日新聞は別会社なんですよね、お恥ずかしながらこのお仕事を引き受けるときに知りました。書評が持つ可能性を探って、世の中のお役に立てるようにしたいです。今後ともどうぞよろしくお願いします。

毎日新聞・書評『高機能アルコール依存症を理解する』/『自分を傷つけてしまう人のためのレスキューガイド』

 本日の毎日新聞の「今週の本棚」で、大書評(通常より文字数が多い)を寄稿しました。 

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 2冊、書評しました。ひとつめは

高機能アルコール依存症を理解する ーお酒で人生を棒に振る有能な人たち

高機能アルコール依存症を理解する ーお酒で人生を棒に振る有能な人たち

 

  「高機能アルコール依存症」は、著者が提唱した名前ですが、確かに仕事も家族も失っていないという、一見、社会的に成功している人の中にもアルコール依存症者は隠れている。ステレオタイプのアルコール依存症者とは違うので、その問題が見逃されている……という指摘は、示唆に富んでいるかと思います。自分、そして周囲の誰かに対して、思い当たる方もいるのではないでしょうか。

 もう一冊はこちら。

自分を傷つけてしまう人のためのレスキューガイド

自分を傷つけてしまう人のためのレスキューガイド

 

  自分や家族が依存症らしい、なんとかしたい、と思った人が手に取るのにちょうど良いガイドブック。自傷行為だけでなく、薬物などの依存症も自分を傷つける自傷行為とみなし、その対処法を最新の医学的な知見に基づいて本人、家族向けに丁寧に説いています。著者は依存症研究の第一人者のひとりでもあり、臨床医でもあり、一般向けの発信も多くされている方なので信頼が持てます。

 

「新書大賞2018」審査員

www.chuko.co.jp

 審査員をつとめた「新書大賞2018」の私の選評が「中央公論」3月号に掲載されています。

中央公論 2018年 03 月号 [雑誌]

中央公論 2018年 03 月号 [雑誌]

 

 

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 私が選ばせていただいたのは、次の5冊になります。

1.『LGBTを読みとく』森山至貴著(ちくま新書

LGBTを読みとく: クィア・スタディーズ入門 (ちくま新書1242)

LGBTを読みとく: クィア・スタディーズ入門 (ちくま新書1242)

 

 2.『裁判の非情と人情』原田國男著(岩波新書

裁判の非情と人情 (岩波新書)

裁判の非情と人情 (岩波新書)

 

 3.『脳の意識 機械の意識』渡辺正峰著(中公新書

 4.『科学の本質と多様性』ジル=ガストン・グランジェ著(白水文庫クセジュ

科学の本質と多様性 (文庫クセジュ)

科学の本質と多様性 (文庫クセジュ)

 

 5.『戦争と農業』藤原辰史著(集英社インターナショナル新書)

戦争と農業 (インターナショナル新書)

戦争と農業 (インターナショナル新書)