内田麻理香ブログ:KASOKEN satellite

ブログというかお仕事日記というか身辺雑記というか。

オレンジページ「暮らしのトリビア劇場」監修

 オレンジページ6月2日号の「暮らしのトリビア劇場」のコーナーで監修をしています。

  箱入りお嬢様、麗子さまがイケメン執事に教えてもらうこのコーナー、今回は「アイスの保存の仕方」です。

 

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 麗子お嬢様、意外と庶民的なんですね。

 この方法、簡単なのに効果があります。ぜひお試し下さいませ。

朝日放送『ビーバップ! ハイヒール』「身近に潜む 知って得する化学反応」出演

朝日放送 | ビーバップ!ハイヒール 「身近に潜む 知って得する化学反応」

  朝日放送の『ビーバップ! ハイヒール』に出演しました。テーマは「身近に潜む 知って得する化学反応」です。

 身近な現象が、実は化学反応で成り立っていること、その意外性と面白さを。そしてその化学反応が、危険な事態を引き起こす場合もある(2012年のアルミ缶破裂事件などなど)も紹介&解説。

 この『ビーバップ! ハイヒール』は、9年ぶり2回目の出演になります。前回は、イケメン科学者のおはなし。

恋する天才科学者

恋する天才科学者

 

  こちらの本は、加筆修正して文庫化されています。

  9年という月日が経つと、いろいろ変わりますね。この番組、私の回で580回だという長寿番組になっていました。それも納得。教養エンターテイメントという難しい分野で、面白さと学問的正しさを両立すべく、スタッフの方々が頑張っていらっしゃる。今回の化学反応の回は、地味なテーマにも関わらず、時間ぎりぎりまで妥協せず(こちらがあれこれ細かいツッコミを入れたにも関わらず)番組を作ってくださいました。

 スタジオの雰囲気も楽しい。ハイヒールのおふたりは、相変わらずゴージャスで楽しいお姉様たちでした。筒井康隆さんも江川達也さんもレギュラーを続けられていますが、知的で洒脱。あの居心地の良さはなんなんだ。

 教養×エンターテイメント、という分野で、これからも楽しみにしています。

毎日新聞「今週の本棚」『我々みんなが科学の専門家なのか?』書評寄稿

 

我々みんなが科学の専門家なのか? (叢書ウニベルシタス)

我々みんなが科学の専門家なのか? (叢書ウニベルシタス)

 

 毎日新聞の「今週の本棚」に、書評を寄稿しています。

今週の本棚:内田麻理香・評 『我々みんなが科学の専門家なのか?』=ハリー・コリンズ著 - 毎日新聞

 「第三の波」提唱者のコリンズ先生の新刊です。一般向けを意識していて、読み物としては面白いのですが……一般向けとしてはわかりにくいですね。たぶん科学論入門の教科書レベルだと思います。素人が専門的問題に取り組むときの処方箋というか戒め、にあたるのでしょう。ポピュリズムに陥らないための市民参加の心得というか。

 「三つの波」の説明や、コリンズの細かい専門家の分類は飛ばしました。第一の波、第二の波……という具合にちまちま書いていたら「こんな本、誰が興味を持つんだ?」というような書評になってしまったので書き直し。

 しかしこれ、一読するだけでは「第一の波とどう違うんだ、ただのエリート主義では?」と誤解されそうな(もしくは素人は専門家に口を出すな的な考えの持ち主には歓迎されそうな)難しい本です。

 コリンズの主張は「第一の波」への揺り戻しをはかるものではありません。「第二の波」における「科学にもっと民主主義を」という風潮に釘を刺し、非専門家の市民参加に一定の条件を課す。ただ、それは「科学が専門家だけのものではない」という「第二の波」の前提を共有した上でのこと。

 そのために、専門家とは何かを細かく考えていく専門化論が中盤で展開されます。

 ただ、失墜した科学(者)の権威の(ある程度の)復権を試みるのですが、その根拠が「科学者のエートスを信じよう」だけでは少し説得力に欠けるような気がします。あと、ここでの専門化論は、「科学者」「酪農家」など、名前のついた職業の専門性を判断して分類するのには使えると思いますが、重要なステイクホルダーになる「住民」などの専門性はどう扱うのか。そのあたりがよくわからない。

 このようにあれこれ疑問点が湧くのですが、それだからこそ、多くの人に議論のきっかけを与えてくれる一冊だと思います。

毎日新聞:鼎談書評「南方熊楠生誕150年」

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 本日の毎日新聞南方熊楠の生誕150周年を記念した鼎談書評が掲載されています。鼎談書評は、毎日新聞の読書欄「今週の本棚」で企画される企画です。月に5回目の日曜日がある日に掲載されます。前は憲法の回でお呼ばれしました。

 

kasoken.hatenablog.jp

 

 鼎談書評は、公開の読書会という趣でしょうか。ひとりで読むより、数人で読んで語り合う方が勉強になるよね、的な。

 今回は池澤夏樹さん、中島岳志さんとご一緒しました。鼎談そのものも刺激的で勉強になります(私なんかはついていくのに精一杯)。そして、南伸坊さんに似顔絵を描いていただけるなんて、なんて役得(前は和田誠さんでした)。熊楠のキノコの図譜風イラストですね。

 対象本はこちらの三冊。

南方熊楠――複眼の学問構想

南方熊楠――複眼の学問構想

 

  熊楠研究で名高い、松居龍五さんの決定版。今のところの熊楠研究の決定版でしょう。南方熊楠のバックグラウンドがよーく理解できます。

 

  池澤さん編集の日本文学全集の「神社合祀に関する意見」。この文章だけでも、熊楠が古今東西を縦横無尽に駆け巡る学問をした者であることがわかります。そして、彼の書く文章はひたすらロジカルで惚れる。

南方熊楠 菌類図譜

南方熊楠 菌類図譜

 

  私が提示した本です。「粘菌」というお題を頂戴したのですが、キノコの本です。粘菌で有名な南方熊楠ですが、粘菌での優れた書籍が見当たらない(私の観測範囲ではありますが……ご存じの方いらっしゃったら、教えて下さい)。これは、熊楠がいかに優れたサイエンティストであるかを伝えています。彼の科学研究の方法も非常に興味深い。地元の人たちとの共同体を作っている。いわゆるアカデミズムに属してはいないので「アマチュア」と言われるのでしょうが、世界的に勝負できるだけの研究共同体を形成している。

 拙著でもかつて南方熊楠を取り上げたことがありますが、

  まあ、こんな風に彼の特異なキャラクターに注目したくなりますし、そのことに言及して終わりのようなコンテンツは多いのですが(自分も反省している……)今回の鼎談書評は、南方熊楠の業績の方に焦点を当てたものになっていると思います。

共同通信社『世界でもっとも美しい量子物理の物語』書評寄稿

 共同通信社に『世界でもっとも美しい量子物理の物語』の書評を寄稿しています。全国各紙で配信予定です。

世界でもっとも美しい量子物理の物語――量子のモーメント

世界でもっとも美しい量子物理の物語――量子のモーメント

 

 量子力学が自然科学の文脈を離れ、日常で受容されている様を描いた一冊です。

 米国では、「量子なんとか」という言葉がポピュラーなようですが、その事情は日本とは異なるな、と感じました。日本で量子論絡みの言葉が使われているのって、せいぜい「シュレーディンガーの猫」くらいでしょうか……? これも、ポピュラーとは言いがたい気がしますが。

karapaia.com

 この記事を読んでも、国によって文化差があるなと感じます。ここで挙げられている中で、日本でも関係しそうなのは「自然」「天然」「オーガニック」という言葉の使われ方でしょうか。あと、日本特有のものとして、ポケモン絡みの「進化」の用法があるかもしれません。

 自然科学の文脈を離れ、自然科学の言葉や概念が日常で使われる様は、量子力学の分野に限らないことは言うまでもありません。

東北大教養教育特別セミナー「学問にとって『役に立つ』とはいかなることか」講演

第7回教養教育特別セミナーのお知らせ – 東北大学教養教育院

 東北大学の新入生向け特別セミナー「学問にとって『役に立つ』とはいかなることか」で講演しました。

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 私の発表のお題目は「複数の『メガネ』を持つために」。

 個人的にも、大学教育でさえ「役に立つ」を求められることには疑問を抱いています。即効的に役に立つけど、将来(数十年先という短いスパンでも)を見据えたらどうなのか? と。民間で学ぶ場ができて、それがビジネスとなっている現状は望ましいとは思います。でも、大学、特に国立大学の教育の場でも即効性のあるお役立ちを求められる状況は回避したいと思うひとりです。

 こちらは、東北大の新入生向けのセミナーです。1000名集まったとか。最後のパネルディスカッションでも学生さんから質問が寄せられましたが、それが軍事研究について、などで。大学1年、しかも4月の時点でこの質問が出るという優秀さに驚きました。

『オレンジページ』「暮らしのトリビア」監修

4月17日号の「オレンジページ」の「暮らしのトリビア劇場」の監修をしています。

オレンジページ 2017年 4/17 号 [雑誌]
 

今号は「シルバーアクセサリーの黒ずみを落とす技」。

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 大富豪のお嬢様が、イケメン執事に教わりながら花嫁修業をする設定のこのコーナー、相変わらず面白いです。ウェブでも掲載されています。

www.orangepage.net

 この方法、シルバー製品が見違えるほどきれいになりますし、簡単なのでぜひお試し下さい。